日本一の直売所に選ばれたい!

全国直売所甲子園2013開催

(平成25.12.10 産直コペル)

タイトルなし

 2年に1度開催される「直売所甲子園」の決勝戦が、全国直売所研究会(会長 長谷川久夫氏)のもと、11月12日、13日の2日間にわたり、東京都中野区の中野サンプラザコスモルームで繰り広げられた。
 3回目の今年は、全国から49団体の直売所がエントリーした。現場視察や専門家の審査など、厳しい1次、2次審査を通過して決勝大会に勝ち進んだ直売所は16団体だった。それだけにどの団体も独自の取り組みを力強くプレゼンし、熱戦を繰り広げていた。
 栄えある頂点(最優秀)に輝いた団体は、茨城県の「みずほの村市場」だった。優勝旗と農林水産大臣賞、トロフィーの他、副賞として賞金100万円が授与され、発表者の高橋広樹氏を中心に檀上に集った仲間が、抱き合って喜ぶ姿が印象的だった。つづく5団体が優勝賞に輝いた。
 「道の駅内子町内子フレッシュパークからり特産物直売所(愛媛県)」。「伊豆・村の駅(静岡県)」。「おおむら夢ファームシュシュ新撰組(長崎県)」「田布施地域交流館(山口県)」「あいとう直売館(滋賀県)」。
 その中で、「道の駅内子町 内子フレッシュパークからり 特産物直売所」が特別賞を受賞した。中山間地の女性パワーがプレゼンに力を添えていた。


地域と直売所の繋がり鮮明に


 3回目となる「直売所甲子園2013」では、今までの成果をさらに前進させるため「直売所での農業・農村は、どのように変わったか」をテーマとして、それぞれの直売所の地域における役割と機能を決勝大会でプレゼンし、競った。もちろん、この大会の主旨は、日本一を決めることだけではない。この発表を通じて、直売所のとりくみを見比べ、お互いの情報交換を進めることを一つの目的としている。他団体の創意工夫を知り、自分たちの直売所を見つめなおすきっかけを得たり、優れた直売所はどうあるべきかの見識を高めるに良い機会となったようだ。
 プレゼン後の皆さんの感想は、いずれも「勉強になった。明日からのヒントをいっぱい見つけた」とか「井の中の蛙だった。出てきてよかった」とか「言いたいことをすべて言い尽くしたので、悔いはない」「共通の悩みを抱えた仲間に出会えて、心強い」などの声を聴くことができた。
 最優秀に輝いた「みずほの村市場」の発表は、これからの世界経済を救うのは、農産物直売所だという攻める農業の切り口で理論展開をしていた。直売所は、農業者を経営者に変える拠点として存在するものであり、「農業の産業化」をめざす。そのため低価格の競争でなく品質向上の競争が望ましく、高付加価値のある農産物を提供する、という趣旨だった。
 実際、みずほ市場では、品質に見合った適正価格で栄養価の高い、安全で、おいしい作物(加工品)を消費者に提供しているという。
 また、消費者と生産者との信頼関係を築き、農業現場を理解してもらうために、交流事業やイベントの開催の他、食と農の問題を消費者と共有するための「消費者モニター制度」「農業めぐりツアー」等も実施しているという。
 優秀賞・特別賞を獲得した「内子フレッシュパークからり(特産物直売所)は、発表者の稲田由美子さんの明るい元気いっぱいの声が、ここの直売所の様子をとても良く感じさせた。プレゼンでは「特産物直売所」「からり農産物加工所」「レストランからり」の3施設を連携させた6次産業を繰り広げていること、しかも農村女性のパワーがあふれていることを前面に押し出していた。出荷会員の7割が女性会員であり、直売所は、農村女性の経済的、社会的自立の場となっているという。集客力、地域の活性化も女性のパワーが支える、一挙両得の理想的な直売所を見た気がした。
 会場を埋め尽くした各直売所の応援団達、また13組の協賛企業の陳列、一消費者や取材陣で更に熱気を帯びた。
 今回優勝は逃した(前回受賞)新潟県からの「とんとん市場新発田店」の副会長の金子さんは、「2011年と比較して、レベルの高さに驚いたし、プレゼンから見えてくる、独自の取組が興味深くて、聞き入ったよ。」と話した。


直売所と消費者との信頼を強く


 審査員長の鎌田定宗氏(全国直売所研究会監事)は、今回の審査は、(1)食の安全性(2)独自性のある取組(3)地域にどう貢献しているか(4)将来どう進んでいくのか、新たなる直売所の模索。などの点を基準に6名の審査員で激烈な論争を繰り広げて決定したことを明かした。また、鎌田氏は、「今回の発表を聞き、直売所が持つ課題が変化している。1回目は、地産地消を目指しているという発表が多かった。2回目は、安全で安心な農産物を作ることを検討する発表が多かった。今回の3回目では、農業の担い手、後継者の問題と消費者をどう巻き込んで活動していくのか。という課題が多かった。直売所は、常に新しい問題、課題に直面していく。そして進化していくものだ。今回の大会で気付いたたくさんヒントを地域に持ち帰り、明日に繋げてほしい」と総括した。
 実行委員長の吉田修氏が語るように、競争相手は消費者の心の中にある。消費者との信頼関係を築き、直売所のファンになって、応援してもらうことが大事だ。
 そのための仕組みづくりを考えていくことが直売所の繁栄につながっていく。生産者どうしの競争ではなく、消費者との心の競争で、直売所も成長していくのだ、と共感した。
 日本の農業改革は待ったなし、攻めの農業を推し進めようと風は動いているけれど、優れた直売所はどうあるべきか?の根底は真理として見えてくるものだと感じた。
 直売所現場に行って、生産者と消費者の心の通った温かい日常を私は見たいと思った。プレゼンに複数出ていた「お・も・て・な・し」の心をきっと、学ぶことができると思った。
 日本各地の方言が飛び交い、拍手あり、歓声あり、涙ありの熱き大会「全国直売所甲子園2013」も賑やかなうちに閉幕した。

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