(H26.8.10 産直コペルvol.7) 文・鹿野なつ樹
写真右:山川勝男さん、左手前:宮川譲さん、左奥:牧野哲也さん。役場職員の二人は、山川さんのことを「じいちゃん」と呼んで慕っていて、普段から仲の良い様子が伝わってきた
7月9日、木曽郡南木曽町の木曽川に注ぐ梨子沢で発生した土石流災害。その被害は甚大で、JR坂下駅から野尻駅間は約一カ月間の運休を余儀なくされ、水道や稲作用の取水口などもまだ仮復旧状態であるという。(8月4日現在)。そんな中、被災からわずか17日後の7月26日、町地産地消推進会議軽トラ市場部会の主催する軽トラ市なぎそグリーンマーケットが開かれた。
町地産地消推進会議事務局の南木曽町役場産業観光課から牧野哲也さん、建設環境課の宮川護さん、軽トラ市場部会長の山川勝男さんに、そのお話を伺った。
「みんなの元気な顔が見たかった」
土石流被害を受けて、軽トラ市の7月開催を延期するという案も出たが、それに一番反対したのは山川さんだという。山川さんの家では、倉庫が被災し、軽トラ市に出そうと準備していた野菜は流されてしまった。それでも「皆が軽トラ市に出そうと思って収穫したせっかくの野菜を、私の事情で延期して売れなくなったなんてことにはしたくなかった。みんなの元気な顔も見たかったしね」山川さんは笑ってそう話す。
当日集まったお客さんの数は、例年よりも多かったそうだ。「元気づけようとやってきてくれた人も多かったと思います」。牧野さんはそう振り返る。中には山川さんに「大丈夫だったか」と心配して声をかけてくれるお客さんもいたと言う。軽トラ市場部会の活動に、地域住民からの信頼も厚い。
軽トラ市場部会のこれから
今後は、軽トラ市を開催するだけでなく、部会で作った新鮮な野菜を、高齢者などの買い物弱者に集配する取組みも計画中。「無理せず、自分たちにできる範囲の取組みを少しずつ広げていきたい」。そう語ってくれた。
この軽トラ市は、毎月第1、第3土曜を中心に12月まで開催する予定。秋になれば南木曽町自慢の米も販売される。また、夏にはかき氷、冬には豚汁を無料でふるまうなど、来てくれたお客さんへのサービスも満点だ。
軽トラ市にやってくるお客さんは南木曽町内の人がほとんどだというが、「町内の人だけでなく町外の人にも、南木曽の農産物をぜひ味わってみてほしい」。山川さんはそう力をこめた。
町と農家が協力して進める軽トラ市場部会の活動は、地域住民と深く係わり合いながら、さらなる発展を目指す。