直売所を考える together thinking 本当はどうなの? 直売所経営 その6

売っているのは、全部地元産農産物なの?

(平成26.6.10 産直コペルvol.6)
 
このコーナーは、今はやりの直売所についいて、直売所の経営者、農家、消費者、皆で考えるコーナーです。今回は直売所で扱っている農産物の地元品の割合について考えてみます。



「直売所」というのだから…


 直売所は、現在では、全国津々浦々、どこでも出会えるスポットになってきました。農山漁村だけでなく、大都市の人口密集地区にも「産直○○」「△△直売所」などと書かれた看板をみかけたりします。
 では、こうした直売所・産直市場の農産物(林産物・水産物も含む)は、誰が作ったもので、どのような流通を経て、そこに並んでいるのでしょうか?

 「直売所」「産直市場」と名乗っているのだから、当然、地元の農家が作ったものが、直接持ち込まれて売られていると考えるのが当り前。事実、どの店でも、商品の大半は、そういう、農家の出荷物です。「直売所」とか「産直市場」とかは、地域農業の振興を進めるための販売拠点であり、農家の主体的な参加の場であるはずですから、地元農家が生産した農産物や、それを使った各種加工品を品揃えの基本に置くことは当然でしょう。

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地域や農家のための「例外」や「訳あり」



 しかし、中には、「例外」や「訳あり」もありますし、「ちょっと疑問」も「ドン引き」もあります。
 「例外」とか「訳あり」と書いたのは、その直売所が抱えている事情や、逆に、出荷している生産者側の事情で、農家が直接出荷し地場産農産物だけではない―というような場合です。
 例えば、山間の集落で、過疎化が進み、頼みにしていたJAのAコープなども撤退してしまい、集落で暮らす人々(主に自動車を動かせない高齢者)のための必需品を扱う店がそこしかない―というような直売所です。
 このような店では、地場産の野菜が枯渇する冬期などは、交流のある遠方の直売所や農家から農産物を送ってもらうなどして品揃えをしています。どうしても都合がつかない場合にはやむなく、市場や小売業者などに都合をつけてもらうことがありますが、これはあくまで「例外」。そういう店では、「例外」であることが明示されていることが多いようです。
 他方、ミカンやリンゴなどの果樹類、ジャガイモやニンジンなど保存が利く野菜などで、生産者が流通の困難な山間部や離島などにいるとか、雹害など突発的な事情で農家の救援が必要になったとかの、主に生産者サイドの事情で、交流があったり、知人がいたりする遠方の直売所に販売をお願いしているという例もあります。大変こだわった栽培をしているけれど、なかなか知名度が上がらないので、各地の直売所の心ある人々に応援をお願いするというような場合もあります。
 こういう商品はいわば「訳あり」商品。でも、こうした場合には、必ず、その商品に「ストーリー」があるので、それが明示されていて、誰にでも、「なぜ、これが、ここにあるのか?」が分かる様になっていることが大半です。


誰のためなの?と思う「ドン引き」例



 ところが、最近、こうした「例外」や「訳あり」の域を超えて、生産者が出荷した地場産の野菜と一緒に、市場仕入れの同品目の野菜が大量に並べられているなど、「ちょっと疑問」から「ドン引き」の例も目にすることがあります。都会の昔ながらの八百屋さんは、そもそも遠来の農産物を扱っていたわけですから、そういう「事業形態」自体に問題があるわけではないでしょうが、「直売所」とか「産直」とかを名乗って、そういう事業をするとなると、様々な誤解が生じます。
 特に、立地条件が良かったり、経営者が商売上手だったりして、繁盛している店でそういう傾向が見受けられることがあり、これは極めて残念なことです。地域農業の振興が目的で、直売所はその実現手段であったはずなのに、直売所の売上増が目的になり、「地域農業の振興」という名目がその手段になってしまっているという逆転現象が起こってしまっているのです。


 では、店頭で、どうやって見極めれば良いのか? やはり、店頭にいても、店員さんの話や、POP・ポスター・チラシなどで、それを生産した生産者のことが良く分かる店。土づくりや栽培方法、農薬使用の状況などについて、農家とともに研修し、きちんと実践していることが分かる店。そんな店の方が、地場産の丁寧に作った農産物が多く集まっているようです。「これはどこで採れたもの?」「どんな農家が作っているの?」―気軽に聞いてみるといいかもしれませんね。
(産直新聞社直売所運営サポートチーム)


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