道の駅東近江市あいとうマーガレットステーション

「あいとう直売館」  一般財団法人愛の田園振興公社 専務理事 藤関明雄

平成25.12.10 産直コペル vol.3

私は、流通業のスーパー業界出身です。今まで消費者目線で仕事をしてきました。いかに消費者の求める商品を少しでも安く仕入れ、どのような販売方法をすれば売上が上がり高利益を出せるか、常に考えて仕事をしてきました。しかし、今度は農家目線でも考えて仕事をしなければならないこと、いかにして農家にたくさんの農産物を出荷していただき、いかにして農家の所得を上げることができるか、この両者の両立を常に意識して仕事をしています。


「あいとう直売館」 一般財団法人愛の田園振興公社 専務理事 藤関明雄
「あいとう直売館」 一般財団法人愛の田園振興公社 専務理事 藤関明雄


●都市と農村の交流は農家に活を生み、地産地消は農家の収益を無限にする



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 今は一市六町が合併して東近江市になりましたが、当施設がオープンしたのは平成7年愛東町の時です。また「田園」を「まち」と読んで、「愛の田園(まち)あいとう」がキャッチフレーズになっていました。それほど、田園風景が似合う町でした。
道の駅名に「マーガレット」がついていますが当時の町花です。農業が盛んで花好きな町民が多く、花言葉「愛」から町の花になりました。

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農業を基幹産業として位置付け、メロン・梨・ぶどう・イチゴ・トマトなどフルーツの町としてイメージを高め、また一方農村の婦人や高齢者を中心に、白菜・キャベツ・きゅうり・ほうれん草など多品目の野菜が栽培されていました。
この道の駅ができるまでは、5月から9月にかけて、メロン・梨・ぶどうの3品目だけは、唯一町を縦断する国道の空き地にテント張りで、生産農家団体が直接販売されていました。昭和61年の時です。市場出荷よりも、直売で農業所得を少しでも多く、また地域ブランドに育てたい思いで、各家や各会社にも営業に回られて、大変苦労されたと聞いています。農家が直接消費者とふれあうことで、生産者の思いも伝わり、信頼関係が生まれ、道の駅のオープン時には、ある程度のブランド農産物になっていました。
 
 それゆえ、当初から地元産にこだわり、他地域の農産物は仕入れずに、足りない品目は地域の農家に栽培していただいて、愛東ブランドの構築を進めてきました。
「売れる野菜塾」として、新しい野菜づくり、品質を高める栽培手法や農薬の勉強会などを実施して、当初は地元で栽培されている農産物は約70品目でしたが、消費者ニーズに応えて、現在300品目に増えました。しかも栽培期間を長くして、可能な限り、いつも出荷できるように、計画栽培の推進もしています。「足りないものは、地域でつくろう」を合言葉に農家に頑張っていただいています。今では、合併して出荷会員も250名に増え、今日では東近江ブランドの育成に努めています。
 
 また、農産物の少ない冬場対策として、商品加工グループも立ち上がり、ぶどうや梨、柿農家などのそれぞれの女性グループやその他個人農家も含めて、地元農産物をフルに生かした加工品づくりに励んでいただいています。梨蜜、トマトドレッシング、ぶどう飲む酢、ブルーベリージャム、干し芋など新商品もたくさん作られています。
 
 これだけ農家が一生懸命栽培出荷していただいても、売れなければ努力が報われません。そこで、やはり消費者に農家を知ってもらう、農産物の味を知ってもらう、地域を知っていただくイベントを実施しています。
 農家とともに栽培から収穫までする「オーナー制いも掘り」やイチゴ狩り、梨狩り、野菜もぎ取りなど、農家とタイアップして消費者に地域を知っていただけるようになりました。また、生産農家組織と一緒に消費者に美味しさを知っていただくイベントとして、メロンまつりやスイカまつり、梨まつり、ぶどうまつりなど開催してきました。すべてが、その農産物を食する試食会、即売会、早食い競争など参加できるゲームを取り入れて、盛り上げています。
 今では、地域ブランドとして、消費者に安心安全な農産物、品質の良さを知っていただくようになり、農家も新たな新作物への挑戦も進んでいます。
 
 このように、地域の良さ、農家の良さ、農産物の良さを知っていただく仕組みは、農家とともに進めてきましたが、まずはこの「あいとうマーガレットステーション」が何処にあって、どんな魅力ある施設なのか、情報を発信していかねばなりません。立地条件としては、国道沿いで名神高速道路インターチェンジから10分の場所であること、田んぼのど真ん中であることであります。便利なところですが、魅力がわからない。
 その頃は花博的なお花畑が人気があり、たくさんの行楽客多く、花には何かひきつけられるものがありました。そこで、施設周辺の農地をお借りして、お花畑にすることにしました。春はポピー、秋はコスモスと3000平方メートルの借地から始めました。
またマスメディアにも載せていただき、お客さんも多くなり、施設を知っていただくことになりました。そのあとは菜の花、ラベンダー、ヒマワリと品目も増え、今では2.3haの農地をお借りして、4月から11月まで季節折々のお花が観られるようになり、散策からお花摘みもできるようにしました。春から秋にかけては、たくさんの来訪者で賑わっています。
 
 しかし、農業者の高齢化、後継者不足、新しい直売所の出店など課題も山積みです。農協では、家庭菜園的な素人の方や団塊世代の方を対象に、直売所に出荷できるプロの農家を目指した野菜塾が始まりました。また、近隣では農家民泊、農家レストランも数年前から始まり、農業体験での食育も始まり、学校給食への取り組みも2年前から始めました。その他、Iターンの希望者も多く、古民家と合わせた新規就農の取組も始まり、これからも農業の町として更なる地域の核となる直売所を目指しています。

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