行動する直売所それを率いる人々

全国農産物直売ネットワーク 森岡亜紀

平成25.12.10 産直コペルvol.3





自腹で学ぶほど、得るものは多い


 全国の直売所リーダーが勢揃いした直売所視察(新潟市・直売所「大地」
全国の直売所リーダーが勢揃いした直売所視察(新潟市・直売所「大地」
 全国直売サミットは今年の新潟会場で第12回を重ねた。直売活動に関わる生産者や店の運営者が集う会にしたいという思いから、補助金は入れず、会費での運営が基本だ。直売活動が盛んな地方での開催にも関わらず、毎回遠路から研修を兼ねて参加してくれる。全国サミットへの参加が唯一の役員報酬だと言うところもある。今村奈良臣代表からは「自腹で勉強するのが一番身につく」といつも激励が飛ぶ。


生産者のリーダーシップを見た、第1回直売サミット


 第1回サミットは平成17年に千葉県八千代市で開催した。今では直売所のカリスマリーダーともなった、道の駅やちよ「クラフト」の吉岡一男さん、道の駅しょうなん(柏市)「ロータス」の勝矢一久さん、「かしわで」(柏市)の染谷茂さんらが活動報告し、全国からの参加者に生産者が主導する千葉の直売所の勢いを見せてくれた。


消費者とともに歩店づくり


 これらリーダーを擁する直売所もそれぞれに挑戦を続けている。都市部のスーパーに囲まれた立地において、ともすれば消費者のわがままにも左右されるが、お客様との対話を丁寧に積み重ね、一方で生産者を盛り立てながら、良い時も悪い時も先頭を切って直売活動を進めている。


直売組織が道の駅全体を束ねる


 新潟サミットの分科会では「クラフト」(千葉県八千代市)から新たな取組の報告もあった。当初は道の駅の1テナントであった「クラフト」だが、現在は前代表の吉岡さんが道の駅の指定管理組織として新たに発足した「八千代K・I・T運営会」の代表となり、道の駅全体を束ねている。そして、直売組織の「クラフト」は、2代目の周郷崇さんが代表を務める。


ただ今、秋の生産者総選挙中


 「クラフト」では今春から、生産者の人気を競う「総選挙・あなたが選ぶ生産者ナンバー1」を始めた。買い物をしたお客様にレジで投票用紙を渡し、自分の推す生産者と選んだ理由を書いて投票箱に投じてもらう(投票は1人1票)。
 理由が書いてあると、それが生産者の励みにもなるし、消費者には商品の作り手を意識するきっかけとなる。この選挙を通じ、必ずしも売上額と人気は比例しないこともわかったという。投票した人には抽選で買い物券が当たり、再び店で買い物に励んでもらう仕掛けだ。春に続き、現在秋の総選挙真っ最中ということだった(投票期間は10月19~11月25日)。

単発イベントではない新たな仕掛け


 第2弾企画として進めるのが「農のめぐみ・川柳大会」。川柳のお題は「道の駅」と「冬野菜」。上位入選者には農産物が贈られるという、どこまでも直売所発の企画だ。イベントというと、一日限定の賑やかな行事を企画しがちだが、川柳大会は生産者の負担も少なく、かつ、お客様が日常の買い物を楽しみながら農業や直売所を考えられる。作り手の生産意欲と、買い手の購買意欲を、お互いに楽しみながら盛り上げようとしている。

直売所らしい世代交代の進め方とは


 毎回サミットでは世代交代や後継者育成が話題にのぼる。直売所の課題は日本社会全体の課題だという意見もあった。
 直売所のリーダーは、多くが出荷会員でもある。直売活動は生涯現役と言われるように引退や定年があるものではない。だから「クラフト」のように、先代リーダーが直売活動を超えて、地域全体を束ねるリーダーとなり、仲間達がより活動しやすい調整役となることは1つの理想だと言える。

地域に築いた信頼と実績は大きい


 直売所を開設した第一世代が獲得した地域社会での信頼と実績は大きい。そのため、直売所を切り拓いた人達が社会的な役割を期待される場面も広がっている。
 第1回サミットから8年。この間、政権も首長も行政も大きく替わった。しかし、直売リーダー達が各地で基本姿勢を変えずに活動を続けている姿に接すると、日本の農業はここで大きく支えられているのだと感じ入るのが毎年の直売サミットである。

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