直売所を考える together thinking

本当はどうなの?直売所経営 その5

(平成26.4.10 産直コペルvol.5)


直売所の店員さんは誰?

 このコーナーは、今はやりの直売所についいて、直売所の経営者、農家、消費者、皆で考えるコーナーです。今回のテーマは直売所の店頭で接客やレジ打ちを行う店員スタッフについてです。

店員は農家の人なの?


  では、ビギナーズクエスチョン。直売所で、棚に野菜や果物を並べたり、その見分け方や食べ方を教えてくれたり、はたまた、レジで会計をしてくれたりする店員さんは、いったい誰? どういう人なのでしょうか?
 特に都会の消費者の中には「店員さんは店員さんでしょ!」と思う方もいることと思います。ですが、デパートやスーパーなどと違って、直売所で仕事をしている人は、当番の農家の人だったり、運営組合の役員だったり、運営組織の社員やスタッフだったり、いろいろな場合があるのです。
 
 規模の大きな、まるでスーパーのようになってしまった直売所ではあまりありえないことですが、直売所で買物をしていて一番楽しいのは、接客をしてくれる人が、農産物の特徴・作り方・食べ方・その地域のことなどを良く知る農家の人で「もう時間が無くなっちゃうよ~」というくらい、いろいろ楽しく話してくれる時だと思います。
 農産物の質の見極め方だったり、見慣れた野菜を使うのに見たことも聞いたこともないような調理法だったり、山菜や地きのこの種類や味の特長だったり…農家の人と直接話ができることで、買い物の楽しみが二倍にも三倍にもなる。それが直売所本来の魅力だといえるでしょう。

当番制から分業制に移る中で…


 農家が自分で店頭に立つのは、昔は
  (1) 出荷農家全員の当番制で、どこの直売所でもやられていたことです。
しかし、扱う商品の量が増え店の規模が大きくなってくると、
  (2) 出荷する農家組合の役員が当番制で店に出て、販売スタッフは地元の人をパートで雇用し手伝ってもらうという形や、
  (3) そもそも店の運営や販売の部門を一括して行う専門事業部門を作ったり、それを会社化したりする形になってきました。
 現在では、直売所と言っても、ほとんどが(3)の形、(2)がちらほら、(1)は重 要無形文化財級だと言ってよいほどでしょう。
 
 こうした分業化は、いわば、直売所の発展にともなう自然な流れでもあったのですが、このことによって、農家の人が、直売所の店頭に立って、自分の農産物を売る機会が少なくなってしまったのも事実です。
 それどころか、専門化した販売スタッフの皆さんも、その店が繁昌すればするほど忙しくなって、自分たちが、農産物を作り出荷してくれた農家に変わって、農家と消費者をつなぐ重要な役をしているのだという自覚も希薄になりつつあります。気づいてみたら、スーパーや量販店と同じような、単なるレジ担当員+荷物補充係になってしまっていることも多いのです。
 そして、農家の方も農家の方で、自分はただ農産物を出荷するだけで、それを売ったり、お客さんとの人と人のつながりを作ったりするのは販売スタッフの仕事ででもあるかのような感覚になってきてしまっている面もあるのです。


店にいる人に色々質問してみて下さい


 もちろん、そういう中でも、「あの人に聞けば何でも分かる」「あの店員さんがいるからあの店に行く」と言われるカリスマ直売所店員もいます。そういうカリスマさんは、たいていの場合、農家の人にも強く信頼されていて、農産物や農業の知識も、農家から聞いて、豊富に蓄えています。しかし、これだけ直売所が多くなってくると、販売スタッフも非農家の若い人が増えてきており、下手をすると、店員さんよりもお客さんの方が、農産物の特徴や食べ方を知っているというような、ちょっと悲しい事態も起き始めているのです。
 
 直売所の魅力は、先にも述べたように、そこに行けば、農産物や農業に関わる(海産物の直売所では海産物や漁業に関わる)ことを知ることができ、農家の人といろいろな情報交換ができることにあります。

  色々な事情で、それがうまくできている店も、出来ていない店もあるのですが、農家の人も、販売スタッフの人も、そして消費者の人も、直売所ではなるべくそういう話をしようと心がければ、きっと事態は大きく好転していくことだろうと思います。農家の結束を基礎にして運営されている直売所には、その底力があるのです。
 消費者の皆さん、ぜひ、直売所に行って、店にいる人に色々質問してみて下さい。
                            (産直新聞社直売所運営サポートチーム)

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