ニッポンの現場から 生産者と従業員が力を合わせて魅力ある直売へ

道の駅「クロスロードみつぎ」野菜市 副会長 綾目文雄

(平成26.4.10 産直コペル vol.5)


 尾道市御調町は山間にある小さな町です。昭和30年代急速に荒廃化が進み、耕作放棄地が増え、平成に入っても止まらなかった。20年前農協職員だった私は一念発起し、農業生産法人(有)アグリサポートを設立。20ヘクタールの農作業を請け負っています。同時に収益確保のため栽培した米を使って餅や巻寿司などの加工にも取り組み直売所で販売しています。一方、町の嘱託職員として13年間営農指導にあたりました。その縁があって道の駅野菜市の運営に携わることとなりました。今後、直売所が大きな販路として農業で自立する人たちの手助けになることを願っています。


道の駅「クロスロードみつぎ」野菜市 副会長 綾目文雄さん
道の駅「クロスロードみつぎ」野菜市 副会長 綾目文雄さん
  道の駅「クロスロードみつぎ」は尾道市の北に位置し、市街地から30~40分の距離にあります。尾道市と合併(平成17年)する前の旧御調町の時に建設され、11年半を迎えます。敷地内にはこども図書館「すくすく」があり、多くの入館者があります。

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 当駅は、野菜市のほか物産売店、レストランがありそれぞれ別々の経営体です。野菜市は生産者で組織された団体で運営し、法人化していません。開店前は「この田舎で野菜は売れない」と多くの人から意見を開きました。しかし、私自身地元の集落で小さい野莱市を立ち上げお手伝いをしていましたので、自信はありました。1年目は控えめに年間3000万円の売り上げ目標を立てました。それでも、大きな数字に見えたようですが、実績は6500万円と倍以上売上げ役場や商工会の人は驚かれたようです。昨年は1億4100万円でした。

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 特に良かったのが、物産売店、レストランとは、店舗が別で独立していたため、野菜市にお客様が押し寄せ、その後物産売店なりレストランに回られる人が多く、商品単価は低いものの集客力がすごいことが見て分かることで、関係者の認識を改めてもらうことができました。
おかげで60平方メートルだった売り場は手狭で、2年目に店頭へ60平方メートルの常設テントを作ってもらって安心して買い物や生産者に出荷をしてもらえるようになりました。
 
 野菜市を運営するにあたり決めていることがあり、今も実行していることがあります。
 まず第1点目は、仕入れ販売はしない。生産者自ら生産・加工したものしか扱わない。
 第2点目は、当日売れ残ったものは夕方引き取りに来ること。全品入れ替えをする。
 第3点目はあいさつをする、お客様と話を積極的にすることです。
 
 1点目については、店のための店にならないように、お客様と生産者のための店づくりに心がける。全都ではないにしろ大半のお客様は、直売所の商品は全て地元のものと思って買っていただいていると思うからです。なかには、その時期には採れない野菜なのに「ない」と不満を言う人もいて、度重なると置いてないことが悪いことのような脅迫感に囚われがちです。しっかり役員と店員が基本方針を共有しておくことが大切だとおもいます。冬にキュウリやナスはなくても良い、夏に大根や白菜はなくても良いのです。最近はけっこう年配の人でも、野菜がいつ採れるのか知らない人が多く、かえってその野莱がないことを説明することが「農育にもつながる」と、勝手に考えたりします。
 
 2点目は、生産者がお店まかせにならないようにすることと、鮮度をアピールすることです。商品を当日引取りにくることで、なぜ残ったのか、商品に問題があったのか、数が多いのか、価格か、曜日か、天候か考えてもらいたいからです。また、日をおかず店側から注意をすることができて分かりやすいことが利点です。農家の人は、他人任せ、他人頼りであげく不満を言う人が多いので、自ら動き考えれば、直売所の中での競争に勝つことができると分かってもらいたいと思っています。生産者の競い合いが直売所の活気につながるとおもいます。ちなみに、栽培講習は年に2回で栽培誘導はしていません。やる気の生産者については、個別に私が相談に対応して栽培指導なり、時には圃場まで出向くこともあります。
 
 3点目については、大きい声で活気のあるあいさつをしようと、店員に言っていますし、生産者にも商品の搬入や引取りのときに、必ずあいさつをしましょうとお願いしています。自分たちの店という意識を持ってもらうためです。直売所の客層はちょっと年配の方が多くスーパーのセルフサービスに物足りなさを感じている世代であり、話に飢えている人がけっこういます。店で一番質問の多いのは、料理方法ですが、逆に料理の仕方を教えたくてたまらない料理自慢の人も多いのです。だから、混んでいないときはしっかりお客様と話をするようにして情報交換をしています。こうしたことで、近隣の直売所のなかでは、けっこう好評をいただいているようです。
 
 常日頃言っていることは、スーパーの真似はするな、スーパーはノウハウや組織力が違う、われわれは泥臭さで勝負しよう、POPは「採れたて」「新鮮」「おいしい」などではなく、「朝5時に収穫した」とか「我が家ではこんな食べ方をする」など手書きで具体的に書くなど。また、たけのこに米ぬか、ワラビに灰を付けたり、はかまをとったつくしだったり、農家ならではの気配りを売り場に反映しています。

店内には、演歌や童謡、ポップスなどを日替わりで流しゆとりのある売り揚にしています。ときに1~2人のときなどお客様も店員も気まずい思いになりがちですが、演歌や童謡が流れているとお客様も口ずさんだりして和やかになります。毎月行うイベント「ありがとうデー」にはありがとうの入った曲を、ひな祭り、端午の節句季節に合った童謡は、販促を兼ねてもいます。
 
 そのほかの行事では、不定期ですが福島県と北茨城県の農産物と加工品の応援販売をしています。5月には20回目を迎え交流を深めています。農業体験を通して消費者との交流も実施していて、今年は米づくりと黒大豆の栽培体検を予定しています。

 開店から11年半の間に、近隣にはたくさんの直売所が開設され、今後も予定されているようです。今年の秋には、市の応援と決断で念願の新築移転が叶い、カートや車椅子で買い物ができる広さになる予定です。われわれには多くの生産者がいます、従業員ともども総合力を発揮して、競合に打ち勝つ魅力ある直売所としてがんばります。


道の駅 クロスロードみつぎ
〒722-0342 広島県尾道市御調町大田33
TEL.0848-76-3115
HP : http://www.crossrood-mitsugi.com



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