POPラベルで売上げ増進キャンペーン 実証実験、第2ステージ

新たな顧客確保に繋がるかに焦点

(平成26.2.10)

 直売所で販売する商品に、POPのようなラベルを貼り付けることで売上げ増進を図る実証実験の第2ステージが、長野県内6ヵ所のモデル直売所で始まった。
 第1ステージでは、ラベルの貼付が販売促進に効力を持つことが数値としても明確になった。第2ステージでは更なるパワーアップを図る。
【産直新聞社POPラベルプロジェクト】



◆POP・ラベル改善による実際の声


 前号では、ラベル貼付は生産者を識別する「名刺」のような役割を持つ、ということを伝えた。この効果について、実際にラベルを貼付した生産者自身の声を紹介する。
 この年末年始、直売所では生産者手作りの門松やしめ縄などの正月商品が並んだ。こうした工芸品の類は、それぞれの生産者で特徴と工夫が見た目で顕著に表れるものだ。
 今年度初めて、この正月商品に顔写真入りで販売したというある生産者から、「販売数が伸びた」という声と共に、「販売が楽しかった」という意見が出された。これはラベルが生産者自身の「名刺」としての役割を確かに示したことを実感する例のひとつだ。
 また、「細かい品種名を書いたラベルを貼付したら販売数が伸びた」とか、「こだわってこの品種を作っているけれど、ネギならネギとしてしかこれまでは売っていなかった。それがラベル貼付によって品種名をお客さんに知って貰えた」といった声もあった。
 逆に、ラベルが貼付されたものを購入した消費者からは、「以前買った品種で美味しかったからまたそれを買いに来た。それが無かったのでこれも美味しいかと思って別の品種名が貼られたものを買った」とか、「(品種名と特徴が書かれた商品を手に取り)新しい品種だと思って試しに買いたくなった」とか、「この人が作っているなら応援したくなった」といった声が聞かれている。

従来のラベル
従来のラベル

 このことはラベルやPOPが生産者自身を売り込む「名刺」としての役割と共に、消費者に対して、生産者サイドの情報を開示することで、他とは少し違うものを食べてみたい、良いもの・美味しいものを食べたい、という「こだわりのある消費者」を生み出すことへ繋がる効果が期待できる、ともいえる。もちろん、ラベル貼付だけではなく、そこには質の良さや味の良さが付随しなければならない。

新しく作った『土乃守』シール
新しく作った『土乃守』シール
 
 いずれにせよ、こうした消費者を多く作ることは直売所にとって重要なことだといえるだろう。「直売所で買いたい」「ここでしか買えないものがある」と思う消費者を作るには、消費者自身の感性を生産サイドの情報を示すことによって「くすぐる」ことが必要となるのだ。ラベルはその「情報開示」が最も手っ取り早く行うことができる道具のひとつでもあるといえる。

◆ラベル改善によって新たな認知を生み出す


 実証実験の第2ステージでは、前号でも伝えたように、ラベルの他に、タペストリー、POP、ポスターといったものを総合的に使用することで消費者にラベルの中身をよりはっきりと認知して貰うという取組を行っていく。各協力店舗で取り組む内容は、以下の通りだ。
 凍み豆腐や凍み大根など、信州伝統の天然フリーズドライ食品に焦点を当てた「信州、凍み食フェア」食べ方や特徴を紹介しながら販売促進を図る「挑戦、豆料理フェア」を行う、たてしな自由農園(長野県原村)。
 農産物だけでなく、手作り加工品や惣菜を含めて、お客の意見を集約しながら品質の改善につなげていく「あさつゆ味の応援キャンペーン」の取組みを行い、その対象商品荷ラベルをはろうという直売所あさつゆ(長野県上田市丸子)。
 豪雪地帯ならではの雪の中に貯蔵された野菜を、その味の特徴や食べ方とともにPRすることを目指す道の駅しなの・ふるさと天望館(長野県信濃町)。
 従来から行っている完全発酵肥料を使用した土作りからの野菜栽培をさらに充実するために、肥料の名前に由来した「土乃守」ブランドの意味の周知徹底を図るアルプス市場(長野県松本市)―など、ラベル・POP・ポスター等を複合的に使用した実証実験が始まっている。
 また安曇野市穂高のVif穂高や、同じく安曇野市明科のファーマーズガーデンあかしなでも第1ステージ以上の豊富でユニークなラベルの制作・添付を目指しながら、店尾の特色を出すための取組みが準備されている。

POPと統一感のあるラベルを貼付し、客の反応を見る。ラベルには調理方法などの一言メモがつく
POPと統一感のあるラベルを貼付し、客の反応を見る。ラベルには調理方法などの一言メモがつく
 それぞれの店舗で取り組むテーマはバラバラだが、共通していることは、対象としているものが「もともとそこで販売していて、より消費者に対し認知を高めたいもの」であるという点だ。
 例えば、たてしな自由農園で販売する「凍み食品」は長野県の寒冷な気候を利用して作られた伝統食品の総称だが、「凍み大根」「凍み豆腐(半生で冷凍されて売られている)」「寒ざらしそば」など、なかなか市場には出回らないものが多い。だからこそ、特に長野県における直売所の冬場の商品として重要な存在だが、実際、「食べてみたことが無い」という人も少なからずいることは確かだろう。
 他にも、アルプス市場では、「土乃守」という完熟堆肥を使った農産物のラベルを従来使っていたものから大幅に改変し、POP、タペストリーを共通するデザインで作ることで、新たな認知と顧客確保へと繋がるかが注目される点だ。
 あさつゆで行う「味の応援キャンペーン」は、実際にアンケートをラベルとともに貼付し、消費者に加工品などの味に対する意見を直接貰おうというものだ。
 道の駅しなの・ふるさと天望館では、雪国ならではの「雪中野菜」をPRする。
 ラベル貼付と併せたPOP、タペストリーといった店づくりによって、消費者の認知が直売所にとってどのように変化していくのか、第2ステージでは、消費者へのヒアリングを中心にして明らかにしていきたい。



産直コペル申し込み

産直コペルのお申し込みはこちら! 年間6冊3240円(税・送料込み)です。

産直新聞

長野県版フリーペーパー! 直売所や道の駅で見かけたら手に取ってみてくださいね。

特別プロジェクト

信州の「環境にやさしい農業」実践直売所育成プロジェクト 推進中!

平谷村地域おこし協力隊facebook

人口480人。長野県で一番小さい平谷村で活動する地域おこし協力隊の活動記録