都会で味わう田舎の味 食で故郷と繋がり、人と繋がり、明日につながる

神田 なみへい 代表 川野真理子

(平成26.2.10)
 東京神田に知る人ぞ知る面白いお店があると聞き、訪ねた。
 東京では入手しにくい地方の食材にこだわり、地方でしか味わえない郷土料理や鍋、お酒などを地域と契約して直送し、月単位でコース料理として提供するとともに、その地域の特産品を店内で期間販売もする。
 
 FMラジオをはじめ、様々な情報ツールで発信して、地域活性の一助に力を入れている店だ。飲食店には違いないが、店の目的もコンセプトも従来ある型にあてはまらない。田舎で生まれ育ち、40年の都会暮らしの間、故郷を忘れたことないオーナーの川野真理子さんの強い意気込みがそこに見て取れる。
 店の名前は、「なみへい」。想像通り、「サザエさん」に登場する波平からいただいたとのこと。昭和のやさしさと素朴さを想い、人がゆったり優しい気持ちで過ごせる空間を提供したいとつけた。

 このなみへいのオーナー、川野真理子さんは、もともとNPOのお仕事を10年されていた。立ち上げた原点には、「地域の農業を守りたい。」という熱い志があった。なみへいをたちあげるに至った思い。現在の気持ち、方向性など、お話をいただいた。




◆東京から故郷起こしをしようと思ったその経緯をおしえてください



代表 川野真理子さん 店内特産品販売コーナーの前で
代表 川野真理子さん 店内特産品販売コーナーの前で
 10年前に故郷の青森で講演をした時に、50代の女性から、「農業では食べていかれないので、田畑を売って千葉にいる長男の元へ引っ越そうと思っているが、ばあさんが『おら、いがね!」と言って泣いて困らせる』という嘆きを聞きました。私の大好きな故郷が衰退していく現状にショックを受けたその時が、スイッチが入った瞬間でした。
私の大事な故郷が疲弊していく。東京に暮らす自分ができること。少しでも、そこで農産物や魚を買ってお金を落とすことをまず考えました。講演の翌年から年に一回レストランを借りて、お母さんたちに来ていただき「ふるさとの郷土料理を食べる会」を企画したりもしました。しかし、全て思いつきの自腹企画でもあり、NPO活動で預金も尽き果てていましたので、熱い気持ちをぐっと胸の奥にしまって3年が過ぎました。時期を待ち、ついに自分のビジネスプランに賛同してくださる支援者達の力も借りて、出資金1540万円で全国うまいもの交流サロンなみへいを立ち上げる運びになりました。


◆どういうコンセプトなのでしょうか



地域の美味しいものを提供するだけでなく、食べることで故郷を応援しよう。少しでも地方の農家や漁村に現金を落として、地域の役に立ちたい。また都会にいる人たちが故郷をなみへいで懐かしんだり、美味しい料理に舌鼓を打って幸せを感じる場にしたい。人と人をつなげ、都会と地方を繋げ、地方の温かさを思い出していただくお手伝いをしたいと思っています。

◆毎月地域限定、期間限定のメニューですか



プロの料理人による地元食材を使った料理の前菜 今回は(青森県おいらせ町)
プロの料理人による地元食材を使った料理の前菜 今回は(青森県おいらせ町)
はい。当初は、青森サロンができるはずでした。しかし、NPO会員の方々から「なんで青森だけなのですか?自分の故郷も自慢したいのに」という声があがり、NOを言わないと決めた私は、試行錯誤で周囲を巻き込み、全県の展開に。そして昨年からは、市町村単位で毎月、コースを組んでいます。





◆お客様は、主にどういう方が多いのですか



通常の飲食とは出発点が違いますので、食べログや広告などに出さず、当店のメルマガやお客様(全国の地方自治体など)の口コミで来ていただいているお店ですので、お客様の層が良く、地道な拡販で層を増やしています。

都会で田舎の味をあじわいたいという客で満員
都会で田舎の味をあじわいたいという客で満員
今まで出会ったふるさとメニューが壁に飾られている
今まで出会ったふるさとメニューが壁に飾られている
お客様は「懐かしい味」を求める方もいますが、最近は、皆さん美味しいものを食べつくしていて、「なつかしさ」よりむしろ「めずらしい」とか「新しい味の発見」を期待されてこられるようになっています。その期待に応えるために、メニューも2か月前より計画を立て、必ず試作し、写真どりをしてホームページに全てのメニューをアップします。もちろん郷土料理が入るときは、郷土の味がわかる人にも参加してもらい、料理長、スタッフ、特産担当とみんなで意見を出し合い、納得できるコースに仕上げます。お蔭で今日まで皆様にご満悦のお声をいただいてきました。
コンセプトからぶれない「きっちりしたお店」を心がけています。







◆ご苦労、困難はありましたか?今の課題などあれば


はい。なみへいを立ち上げた時は、まだ自身、なんの経験もなく、無謀な挑戦に出たわけですから、毎日がプレオープンのような状態でした。今も依頼のない月は、自ら、地方自治体にお伺いを立てます。
コンセプトを言ったところで、経営ができなければどうしようもなく、いわゆる飲食業に走ってしまえば、地域おこしのコンセプトから離れる…経営とコンセプトと接客の3つのバランスが難しく、日々学習しています。
あとは、なにせ、料理長とコーディネーターと私の3人で切り盛りしているため、今日明日の事で手一杯で、情報発信やネットワーク作りの場の拡大まで手が回らないことが課題です。
縁作りの場を提供する為には、伝えることが不可欠なんですが。

◆確かに、各地の地方団体は、首都圏の販路や交流の場を捜していると思いますが、このような場所があることを知ってほしいですね。その他に、どのような企画が可能なのですか



 地域の特産品をPRしたり、厨房の使えるマーケティング会場として、店を丸一日貸し出すサービスも行っています。100インチのスクリーンとプロジェクターを無料でお貸ししますので、様々な研究発表会やIJUターンの説明会場としてもお使いいただけます。また、生産者参加の交流イベントやサポーターを集めた交流会などできる限り、受けています。小規模、低予算で様々なプロモーションにお役立てしていきたいと思います。

なみへいの今後の益々のご活躍を期待しています


今までに企画運営された一例
(1)厨房・店を丸ごと使った地元お母さんの郷土料理食事会
(2)漁師・農家さんが作る食材振る舞いイベント
(3)同県出身者の同窓会、県人会の食事会
(4)IUJターンの説明会場(地元食材を使ったランチ提供)
(5)地域のPRや活動発表会、終了後の交流会
(6)地酒の販路先の担当者を呼んでの試飲会など


全国うまいもの交流サロン なみへい
月〜土 18:00〜22:30
定休日:日・祝日 TEL:03-6666-5963(電話受付12:00~)
〒103-0021 東京都中央区日本橋本石町4-2-6 神田GMビル1F



産直コペル申し込み

産直コペルのお申し込みはこちら! 年間6冊3240円(税・送料込み)です。

産直新聞

長野県版フリーペーパー! 直売所や道の駅で見かけたら手に取ってみてくださいね。

特別プロジェクト

信州の「環境にやさしい農業」実践直売所育成プロジェクト 推進中!

平谷村地域おこし協力隊facebook

人口480人。長野県で一番小さい平谷村で活動する地域おこし協力隊の活動記録