「農業」と「観光」コラボレーションセミナー長野県千曲市で開催

農家と旅館をつなぐ、地産地消のおもてなし

(平成26年4月10日 産直コペルvol.5)


「農業」と「環境」のコラボレーションセミナー
「農業」と「環境」のコラボレーションセミナー
 農家と旅館セットでの振興を目指す『農業』と『観光』コラボレーションセミナーが平成26年3月6日、長野県千曲市総合観光会館で開催された。 
講師はNPO法人素材広場の理事長の横田純子氏。 福島県会津若松市出身の彼女は、地産地消に取り組む旅館と生産者をつなぎ、福島県に来た旅行者を地元食材でおもてなしする活動をしている。
 長野県農政部、観光部主催のこのセミナーには、地元の農業や観光事業、行政それぞれの関係者が総勢60名以上参加した。


観光業に携わって18年目の横田さん。さまざまな角度から福島の 魅力を発信してきた。
観光業に携わって18年目の横田さん。さまざまな角度から福島の 魅力を発信してきた。
 セミナーの前半には横田氏による「生産者とお宿をつなぐネットワークづくり」と題した講演が行われた。 かつて流行した食べ放題の時代は終わり、これからは農家が名前を出してお客さんを呼ぶ時代であると彼女は語る。
 さらにそこに旅館の力が加われば食べ物の力で人を呼ぶことができるという。なぜ旅館にこだわるのか、それはこれだけインターネットが普及した今でも旅行者にとっては旅館で働く人間こそがその地域の案内人であり代表者だからだ。旅館が提供する情報が詳細であればあるほど旅行者は行動を起しやすい。
例えば、ただ「料理が美味しいお宿です」というのではなく「ここでは地元の何処で作られた何が食べられます」という様に他との差別化を図り旅行者に訴えかける。
 
では宿と農家が提携するにはどうするか。旅館には旅館の、生産者には生産者のこれまで培ってきたやり方があり、双方のニーズを合わせるのは簡単ではない。そこで彼女が双方をつなぐパイプ役となるのだ。また彼女の役割はただのパイプ役にとどまらず生産者の作った食材をその旅館でどのようにして調理提供するかというところまでを企画提案している。その食材は他と比較した時にどの点で優れているか、それをどうプロモーションし人の興味を引くか、そこまで考えないと集客には結びつかないという。
 旅館側と生産者側、双方を知ろうとする横田氏の努力、またそれぞれの活動に寄り添おうとする熱意が彼女の活動の基盤となり、地産地消からなる地域活性化を推し進めている。

 後半は「信州の『食』で満足いただくために私達ができること」というテーマでパネルディスカッションが行われた。パネリストとして米生産農家の金崎隆氏、ホテル亀屋から高野和也氏、株式会社丸友中部青果から片山環氏がそれぞれ参加し、産直新聞社の毛賀澤明宏編集長がコーディネーターを務めた。  
 ディスカッションの一番の争点となったのは、高く生産物を売りたいという生産者側と安く買いたいという旅館側との摩擦である。これを解決するには、旅館で提供する商品に付加価値が必要となる。生産者側の取組みや生産物の美味しさを立証する根拠を旅行者に物語ることで彼らを納得させ満足させられたならば価格以外で勝負することができるのだ。
 「丁寧に作られた物には人を惹きつける魅力がある」と横田氏は力を込める。地産地消を実現するためには丁寧な物造り、そしてそれをいかに魅せるかというアピール力が必要とされる。
 今後長野県内においても、生産者や生産物の今まで語られることなかった新たな魅力を発掘し発信していくことが、地域活性化へとつながっていくだろう。

※横田純子氏には、本誌創刊号にて「震災で、福島の何が変わったか」という記事を寄稿して頂きました。)

NPO法人素材広場
福島県に来た人々を「福島らしさ」でおもてなしするため、地産地消に取り組む会員宿と連携し、地元素材を使った企画を実施している。
 農家・職人・作り手の技術や思い・料理人の丁寧さなど、サービスが提供されるまでの観光産業の「裏舞台」を旅行者に伝えることで福島の魅力をアピールする。
HP:http://sozaihiroba.net
                   文・鹿野なつ樹

産直コペル申し込み

産直コペルのお申し込みはこちら! 年間6冊3240円(税・送料込み)です。

産直新聞

長野県版フリーペーパー! 直売所や道の駅で見かけたら手に取ってみてくださいね。

特別プロジェクト

信州の「環境にやさしい農業」実践直売所育成プロジェクト 推進中!

平谷村地域おこし協力隊facebook

人口480人。長野県で一番小さい平谷村で活動する地域おこし協力隊の活動記録