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全国直売所訪問記 道の駅酒谷

「道の駅酒谷(さかたに)」は、宮崎県南部、日南市酒谷地区に位置する道の駅だ。同店の駅長・野辺和美さんを訪ねた。

「酒谷」を売る!こだわり貫く道の駅



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「道の駅酒谷」の前身となる店がオープンしたのは、平成9年。運営開始から20年になる道の駅だ。現在は、地域住民らが株主となった「酒谷むらおこし株式会社」が運営している。近くには日本の棚田百選に選ばれた「坂元棚田」があり、斜面地に集落が点在する山村に位置している。
 農産物や加工品を販売する店舗と食堂があり、その横には加工所が併設されている。販売する農産物は、生産者からの出荷のみで、市場仕入れは一切しないのだという。
 従業員は店舗・加工所含め18名で、皆、地域の女性達。この女性達をまとめるのが、駅長の野辺和美さんだ。
 「『酒谷産を売る』ことが、この道の駅の役割だと思っています。お客さんもここにしかないものを求めてきますし、酒谷産であることを認識するからこそ、安心して買っていく。それに応えることが、酒谷ブランドの発信につながると思っています」。そう、野辺さんは道の駅経営の理念を話す。



理念を貫くための 運営への責任



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 経理として道の駅運営に携わっていた野辺さんが、駅長として就任したのは平成18年。「まだ子供も小さかったし、不安しかありませんでした。辛いこともあったけど、子供達に逃げる姿を見せたくないという一心で頑張ってきたかな」と野辺さんは言う。
 経営の一切を委ねられた野辺さんは、独学でそのイロハを学んだ。同時に、現場に立ち、レジ打ちから加工の手伝い、食堂の配膳まで、何でもやったという。
 また、「道の駅の健全な経営」が、駅長としての最も重要な仕事と考え、POSレジメーカーである(株)寺岡システムと協力し、レジのデータを活用しながら店の経営分析を重ねてきた。例えば、毎月スタッフで会議を開き、来場者数や売上額の報告、比較、売上額増減の原因などを分析。また、生産者への情報提供のため、年数回、運営状況の報告や農産物、加工品の売り上げランキングなどを公表し、生産意欲につながるような工夫も進んで実施してきた。
 ちなみに、農産物のバーコードには、必ず「出荷日」を明記している。新鮮さをウリにする同店では、鮮度管理の徹底は欠かせない。10年以上前から取り組んでいることだという。



故郷を想う気持ちを伝えたい



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 「幼いころに父親を亡くした子供達は、地域の人達に育ててもらったようなものです。土地柄もあるのかな、本当に温かな人が多い。色々な愛情をもらったし、それが財産にもなっている。感謝しています」と野辺さんは言う。
 道の駅として地域を支え、また支えられてきたからこそ「酒谷を思う気持ち」は強い。だからこそ、子供達が独立した今、道の駅として地域へ貢献したいという思いを、より強くしているという。
 そのための取り組みのひとつが、2年程前から行っている高齢者の見守りも兼ねた手造り弁当の配送サービスだ。現在は十数軒の高齢者が利用している。カルテを作り、その人の状況や好き嫌いも把握し、時には話し相手になることもあるそうだ。
 また、出荷者の高齢化が進む中、農産物の集荷代行も行っている。「奥さんを亡くされて気落ちしている生産者に『集荷するから出して。そうすれば元気も出るが』と伝えたりして」と野辺さん。
 その他、郷土料理・特産品加工の体験学習や、地域の自治組織「酒谷地区むらおこし推進協議会」との連携を進め、道の駅を住民主体の自治・交流活動の拠点として位置づけた取り組みを続けている。
 こうした取り組みが評価され、平成28年10月、同店は国土交通省が認定する「住民サービス部門のモデル道の駅」として、全国6カ所のうちのひとつとして認定された。  
 「地域のために、道の駅としてできることを背伸びせず、ひとつずつ取り組んでいきたい」と笑顔で話す野辺さん。その表情からは、この地域を誇りに思う気持ちが滲んで見えた。


(産直コペルvol.22掲載 「全国直売所訪問記 宮崎編」より)


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