全国の地域おこしの先進事例が満載 ―産直コペルより―
特集 被災地熊本の直売所を訪ねて 農家の希望をつなぐ「閉店営業」
道の駅 俵山 萌の里(西原村)
道の駅・直売所の前を通る幹線道路が寸断され、取材時でも、半ば崩壊しかけた狭い山道を迂回して訪ねるしかなかった西原村の俵山・萌の里。4月14日夜の前震では棚から商品が落ちたくらいで16日から営業再開を予定していたが、その16日未明の本震で決定的な打撃を受けた。
施設は比較的新しかったため大破はしなかったが、道の駅の上方・下方の双方で道路が寸断され完全に孤立。取材に応えてくれた運営会社「俵山交流館・萌の里」の寺本篤史次長も、迂回路をようやく見つけて店にたどり着いたのが3日後だったという。
たどり着いた直後は、村の住民が肩を寄せ合う避難所に食料を届けることが第一義的課題。併設する加工所に保管していた名物「いきなり団子」(冷凍品)を即刻運んだり、交通網が断たれたため農産物を運んでこられない農家に集荷に回り、避難所に配布して回る状況が2週間ほど続いたそうだ。
「これだけでは、出荷農家の農産物を扱いきれない」。そう気付くのにそれほど時間はかからなかった。出荷農家は名簿上250人。熊本市内から車で30分の位置にあり、震災前は全体で4億4,000万円の売上げ。地元農産物の委託販売だけで1億5,000万円の売上げがあったのだから、その農家の豊富な農産物を何とか販売しないと、「地域農業自体がどうなるか心配だった」と寺本さんは話す。
最初に手を付けたのはSNSサイトFACE BOOKを使ったネット販売。震災前から開店していたが、あまり利用されていなかった。しかし、「これしかない」という思いで情報をアップしたところ、予想以上の反応があり、FACE BOOK上のやり取りから電話やFAXを経て、宅配便の代引きで配送。
最初は品目ごとの注文を受けていたが、途中から、こちら任せで農産物を詰める「玉手箱」(2,500円送料別)に変更。これとスイートコーン、ブルーベリー、トマトの単品注文だけにした。最大時には1日で100軒から注文があり25万円の売上げ。 FACE BOOKの閲覧は最大6万人にも及んだという。
さらに、販売先を広げるために熊本生協と交渉し、日替わりで3店舗の店頭で出張販売も行っている。店は、現状では客が来られないから閉店しているが、寺本さんは「閉店営業中なんです」と笑った。
取材時の7月21日現在で、出荷農家は15軒。被災直後には「農業はもうやめる」と言っていた農家もかなりあったが、次第に生産意欲が高まってきていることを実感するという。 FACE BOOKを通じて事情を知った農作業ボランティアが多く駆けつけてくれたことも大きな力となった。
こうした流れの中で、8月お盆明けには、西原村の仮設住宅に隣接する地に、仮設店舗を2年間限定でオープンさせる。直売所が、被災地の農業を勇気付け、再興に向けて牽引しているのだ。
農作業ボランティアを継続的に進める専属部署も村のボランティアセンターに設置された。「実は、大学に行っている娘が、休学して、そこに入ってくれることになったんです」。うれしそうな笑顔で寺本さんはそう語った。
(産直コペルvol.19掲載「特集 被災地熊本の直売所を訪ねて」より)
道の駅・直売所の前を通る幹線道路が寸断され、取材時でも、半ば崩壊しかけた狭い山道を迂回して訪ねるしかなかった西原村の俵山・萌の里。4月14日夜の前震では棚から商品が落ちたくらいで16日から営業再開を予定していたが、その16日未明の本震で決定的な打撃を受けた。
避難難所と農家を繋ぎ、食料運搬
施設は比較的新しかったため大破はしなかったが、道の駅の上方・下方の双方で道路が寸断され完全に孤立。取材に応えてくれた運営会社「俵山交流館・萌の里」の寺本篤史次長も、迂回路をようやく見つけて店にたどり着いたのが3日後だったという。
たどり着いた直後は、村の住民が肩を寄せ合う避難所に食料を届けることが第一義的課題。併設する加工所に保管していた名物「いきなり団子」(冷凍品)を即刻運んだり、交通網が断たれたため農産物を運んでこられない農家に集荷に回り、避難所に配布して回る状況が2週間ほど続いたそうだ。
販売しないと農家がつぶれる
「これだけでは、出荷農家の農産物を扱いきれない」。そう気付くのにそれほど時間はかからなかった。出荷農家は名簿上250人。熊本市内から車で30分の位置にあり、震災前は全体で4億4,000万円の売上げ。地元農産物の委託販売だけで1億5,000万円の売上げがあったのだから、その農家の豊富な農産物を何とか販売しないと、「地域農業自体がどうなるか心配だった」と寺本さんは話す。
ネット販売・玉手箱・出張販売
最初に手を付けたのはSNSサイトFACE BOOKを使ったネット販売。震災前から開店していたが、あまり利用されていなかった。しかし、「これしかない」という思いで情報をアップしたところ、予想以上の反応があり、FACE BOOK上のやり取りから電話やFAXを経て、宅配便の代引きで配送。
最初は品目ごとの注文を受けていたが、途中から、こちら任せで農産物を詰める「玉手箱」(2,500円送料別)に変更。これとスイートコーン、ブルーベリー、トマトの単品注文だけにした。最大時には1日で100軒から注文があり25万円の売上げ。 FACE BOOKの閲覧は最大6万人にも及んだという。
さらに、販売先を広げるために熊本生協と交渉し、日替わりで3店舗の店頭で出張販売も行っている。店は、現状では客が来られないから閉店しているが、寺本さんは「閉店営業中なんです」と笑った。
8月、仮設店舗オープンへ
取材時の7月21日現在で、出荷農家は15軒。被災直後には「農業はもうやめる」と言っていた農家もかなりあったが、次第に生産意欲が高まってきていることを実感するという。 FACE BOOKを通じて事情を知った農作業ボランティアが多く駆けつけてくれたことも大きな力となった。
こうした流れの中で、8月お盆明けには、西原村の仮設住宅に隣接する地に、仮設店舗を2年間限定でオープンさせる。直売所が、被災地の農業を勇気付け、再興に向けて牽引しているのだ。
農作業ボランティアを継続的に進める専属部署も村のボランティアセンターに設置された。「実は、大学に行っている娘が、休学して、そこに入ってくれることになったんです」。うれしそうな笑顔で寺本さんはそう語った。
(産直コペルvol.19掲載「特集 被災地熊本の直売所を訪ねて」より)