全国の地域おこしの先進事例が満載 ―産直コペルより―
本当はどうなの?直売所経営 その4
陳列場所を決めるルールは?
このコーナーは、今はやりの直売所について、直売所の経営者、農家、消費者、皆で考えるコーナーです。今回のテーマは直売所の店頭に並ぶ野菜や果物の陳列場所を決めるルールについてです。
陳列場所はどうやって決まるの?
初めて立ち寄った直売所などで、「アレ!?」っと思うことの一つに、野菜や果物の棚への並べ方、陳列の仕方の違いがあります。
スーパーでの買い物に慣れている方にとっては、キュウリならキュウリ、大根なら大根と品目ごとに集められて陳列されているのが当たり前。ところが、直売所の中には、生産者ごとに陳列する場所が決められており、そのコーナー(多くの場合、カートン一つ)に、同じ一人の生産者が栽培したいろいろな品目が入って並べられていることがあります。
ピーマンを探していると、こっちにもあれば、あっちにもあって、少し面食らった経験がある方も少なくないはず。そのコーナーには生産者の顔写真が、「この棚の野菜をつくったのは私です」というようなキャッチコピーと一緒に貼ってあったりして、生産者の名前と顔で農産物をPRしようという、直売所ならではの陳列方法です。
ところが、どの直売所でもそういう方法がとられているかというとそうではなく、スーパーと同じように、品目ごとに―つまり、複数の生産者の農産物が混在する形で―並べられている店も少なくありません。今日では、こちらの方が多いようです。
これは、消費者=お客さんが買い物をする時に、より手軽に買い物が出来るように、いわばスーパー方式を取り込んだ陳列方法だといえるでしょう。
生産農家ごと?品目ごと?
どちらが良いのかは一概には言えませんが、初めて入った直売所で、まだ、どんな生産者がその店に出荷しているのか分からないような時には、どちらかといえば、生産者ごとに農産物がまとめられていて、その生産者の特徴やこだわりの説明書きがされているような棚の方が、便利で楽しい感じです。
一方、何度か足を運ぶうちに、あの直売所のトマトは○○さんのものはおいしい、ブルーベリーは××さんのものが甘い…というように、「あの店の・あの生産者のもの」が目当てになっているような場合には、いちいち生産者の棚を探し出すよりも、品目ごとに集まっている中から、お目当ての生産者のものを探し出した方が手っ取り早いようです。その時に目印になるのが、バーコードラベルに記録された生産者の名前や、特別にその人用に作られたPOPラベルなどです。
直売所ビギナーの消費者の方は、これからぜひ、買った直売所や、おいしかった野菜や果物の生産者の名前を覚えていただき、「ごひいき」を決めていただければと思います。
「農家の顔」を見分けて買って下さい
さて、陳列方法の違いはあるとはいえ、どちらも、どの生産者のものを、どの位置に、どれくらい並べるのか―という直売所の運営側にとっては少し悩みの種の問題があります。
生産者は、誰でも、自分の農産物に自信を持っており、自分の農産物を、なるべくお客さんの目の付くところに、できるだけたくさん並べたいと思うのが常です。
しかし、誰か一部の人の要求ばかりを聞いていると、感情的しこりが生まれ、直売所のまとまりに亀裂が走ります。そこで、直売所側・生産者側のルールができるわけです。一般的には、農家ごとのカートン制の場合には、陳列位置はローテーション。品目ごとの場合には出荷量の上限を決めた上で、早い者勝ち。後から持ってきて、人の品物をどかしたり、上に乗せたりしない―ということを紳士(淑女)協定にしていることが多いようです。
しかし、中には、そういう棚の配置についても基本的に生産者の〝自由競争〟に任せている店もあります。自己責任で出荷・陳列し、売れ行き状況や、他の生産者との人間関係などについて、責任をもって自己点検・自己改善をするべきだという考え方に基づいています。それとはまったく反対に、生産者は自分の生産物をバックヤードまで持ってくるだけで、陳列については、店長や販売スタッフなどに権限が集中している店もあります。生産者の代表でつくる品質管理委員会が、その権限を一手に保持している場合もあります。
このように、野菜や果物の棚への並べ方ひとつをとっても、直売所ごとに様々な個性があります。お店を回って、そんなことを見比べてみるのも、ちょっとした楽しみになるかもしれません。
(平成26.3.14 産直コペルvol.4より)