地元、信州の農・食・暮らしを発信 ―さんちょく新聞より―

収穫レポート!梅の収穫、おじゃましてきました!

農村では、各家庭の庭先などに、必ずといっていいほど柿や栗など実の成る木が植えられていました。栄養もあり、加工すれば保存もきく果樹は、日々の農村の暮らしには無くてはならない大切な存在でもありました。梅もそのひとつ。今でも、庭先で自家用程度に梅を育てている家庭は少なくありません。
 道の駅あおき(青木村)に梅を出荷している増田勝夫さん(76)は、竜峡小梅、信濃小梅、信州豊後の3種類の梅を育てています。梅はほとんど自家用だそうですが、小梅は1本の木で20キログラムほど採ることができ、一部を直売所に出荷しているそうです。
 6月、増田さん宅で行われた梅の収穫作業におじゃましてきました。


梅の収穫



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梅を収穫する増田勝夫さん(青木村)

この日行われたのは小梅の収穫。集めやすいように木の下にシートを敷き、その上に実をかき落として収穫します。高いところまで伸びた枝は、手入れがしやすいように剪定もかねて、枝ごと落とすこともあるそうです。
 増田さんは梅の実を青くて硬いうちに収穫しています。実をつぶしてみて中の種が硬くなっていれば収穫適期。特に、小梅は木に成ってから一週間もすると黄色く熟してしまいます。梅漬けや梅シロップなどの加工には固い青梅を使用するため、実が成ったら早めに収穫しているそうです。
 

忙しいのは採ってから



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 「梅は収穫してからが忙しい」と増田さんは言います。まず虫の入っているものや、熟しすぎているものを選別し、葉っぱなどのごみを取り除きます。毎年、小梅は自分の家だけでは食べきれないほど収穫できるため、親類や近所の人などで欲しい人がいれば譲っているそうで、実を選別した後は、譲ってほしいと頼まれた人用、販売用、自家用に分けます。人の手にわたる小梅は、おおよそ直径15ミリメートル以上の実を選んでいるとのことで、大きさの選別も行っています。こうした作業を行う間にも小梅は熟してきてしまうため、収穫したその日に作業を行います。
 自家用の小梅は、奥さんが処理しています。砂糖漬け、梅酢、梅ジュースなど、今度はさまざまな「梅しごと」が待っています。
 販売用に分けた小梅は、道の駅あおきに出荷しています。熟れるのが早い小梅。「梅は熟れると漬けられないから、売り場に置いておけるのも2日くらいだね」と増田さん。梅しごとの忙しさが伝わってきます。

青木村での梅の収穫



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JAの選果場の様子。大きさ、状態別に選別され店頭に並ぶ

 青木村では、竜峡小梅や信濃小梅、信州豊後、白加賀などさまざまな品種が栽培されています。道の駅あおき組合長の林寛夫さんによると、直売所に並ぶ梅は、一度JAの選果場を通しているそうです。「お客さんが、買ってから使いやすい方がいいと思って」と話す林さん。選果場で虫の入ったものや熟れすぎたものなどをはじいてもらってから、店頭に並べられます。
 青木村では、梅を自家用に育て一部を直売所に出荷する方が多いそうですが、平成20年に閉園した「青木村アイリス園」の駐車場を有効活用しようと、数年前に複数の農家が共有で管理する新しい梅団地ができました。白加賀を始め複数の品種が植えられています。この梅団地で栽培された梅は、直売所で生果として販売されるほか、加工施設などで加工し、商品化して販売することを目指しているそうです。 
 2月や3月の梅の花の時期には、花がきれいに咲くのだといいます。「来年はここで花見をしたいなあ」と林さんは目を細め話してくれました。梅の木の成長も楽しみです。

(平成30.6産直新聞第98号より)