地元、信州の農・食・暮らしを発信 ―さんちょく新聞より―

Vol.97「信州おやき大全!」

信州を代表する郷土食「おやき」。皆さんは「おやき」と聞いて、どのようなものを思い浮かべますか? 水で溶いて練った小麦粉の生地に旬の野菜などをたっぷりと包む―、ということは基本的にどの「おやき」にも共通していますが、実は焼いたり蒸かしたり、各地域によって作り方やその見た目はさまざまです。実に多様で奥深い「おやき」の世界。ぜひ、本紙を参考に、各地域の直売所の「おやき」を食べ比べてみてくださいね。

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耕運記



 「おやき」を食べ歩いていて、改めて、信州の食文化の多様さやおもしろさを感じています。おやきひとつ取ってみても、その食文化が成り立った背景や、思い出話などを聞いていると、その地域の特性、歩んできた歴史、人々の暮らしまでも感じることができます。庶民の歴史や文化はなかなか残りません。農村の歴史など、ことさらそうだろうと思います。現代において、失われてしまったものはきっと想像以上に多いことでしょう。それでも、今なお残る郷土食や伝統文化の中に、地域のかつての暮らしや歴史が息づいているのだとしたら、それを守り伝えていくことは100年後の地域にとってきっと大きな財産になると思うのです。
 …と、そんな理屈をくどくど考えながら食べていたのですが、はたと、「そんな理屈考えなくても、おやきはおいしい」ということに気が付きました。「楽しく作っておいしく食べる」ということが、郷土食を作り継いでいく一番の方法なのかもしれません。農産物直売所が地域の味をどうやって受け継いできたのかといえば、思い出話をしながら楽しく作っておいしく食べてきたからなのだと思います。その土地の文化や暮らしを感じてもらう会話や交流があることが農産物直売所の醍醐味です。そこで作り伝えられた食文化は、作り方やあり方が少しずつ変わっても、きっと10年後も100年後も、その地域にとってより良い形で、受け継がれていくのだろうと思います。ぜひ皆さんも「おやき」をはじめ他の郷土食も同様に、肩肘張らず、作ったり買ったり食べ比べたりしながら、その魅力を味わっていって欲しいと思います!〔柳澤 愛由〕

(平成29.12.23 さんちょく新聞第97号より)
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