直売所がこの先生きる道を共に探る

2015年度、直売所指導者研修会が始まりました

直売所指導者研修会 in 北信



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 今年も長野県内10地域で開催される運びとなった直売所指導者研修会。まずは6月18日に北信地域で開催されました。
 この研修会では、直売所の人材育成の重要性について認識を新たにすることを主軸とし、前半は本誌編集長の毛賀澤が、全国の直売所の現状、GAPの実践を基礎とした直売所の魅力作りや、ブランド化について講演し、次いで本誌編集部の岡田が、長野県内114店舗で行なった直売所ヒアリングの概要を報告しました。
 補足として長野県農政部から、エコファーマーやGAPの基本的概念、信州の環境にやさしい農産物認証制度についての説明がありました。

 後半は、直売所の人材育成の重要性を踏まえた上で、7月から開催される信州直売所学校での人材育成講座について、毛賀澤より紹介がありました。
 やる気のある直売所に手を挙げてもらうことで、産直新聞社として出来る限りのサポートをする準備があることや、エコファーマーやGAPの実践など、難しく考えずにまずは取り組んでみること、最初の一歩を踏み出すことの大切さが確認できた会となりました。


直売所指導者研修会 in 下伊那



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 6月25日、2回目の直売所指導者研修会が下伊那地域にて開催されました。
 前回と同じく、直売所の人材育成の重要性を主眼に置いた内容となりました。
 意見交換の時間では、「なぜ売り出す時に無農薬と表示してはいけないのか?」といった率直な疑問や、また、「農薬の基準値を知らない一般農家さんがたくさんいるため、認知を広めるための資料の作成と配布をしてほしい」といった行政に対する要望が出されました。

 行政のみならず、われわれもエコファーマーやGAPなどについての認知を広めるためのさらなる努力と工夫の必要性を感じた会となりました。


直売所指導者研修会 in 佐久



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 6月26日、3回目の直売所指導者研修会が佐久地域にて開催されました。
 意見交換の時間では「これからの農業を担う若者の集まる農業高校にも、直売所学校への参加を働きかけてもらいたい」といった、農の将来を見据えた見解が提出される一方で、「有機栽培だとハードルが高くて若い人が入ってこない」「高齢化でやっていけるか不安」といった、直売所が今直面している深刻な悩みも出されました。

「若いお母さんの姿が直売所ではあまり見られない」といった、地域のために直売所が果たすべき役割、直売所の原点とはいったい何なのかを考えさせられる指摘も見られました。


直売所指導者研修会 in 長野



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 6月29日、4回目の直売所指導者研修会が、長野地域にて開催されました。
 本誌編集長である毛賀澤より直売所学校の紹介がされるや、「直売所学校の講師陣がすごい人物ばかり、ぜひ参加したい」とさっそく参加表明をしてくれた直売所があり、また「エコファーマーやGAPの話をまず生産者に聞いてもらうことが大切、講習会をひんぱんに開いていきたい」といった積極的な姿勢が目立ちました。
 一方で、今まで他会場でもたびたび指摘のあった「一般人へのエコファーマーの認知について、行政の努力が足りないのでは?」という意見が今回も出ました。

 長野県のある直売所では、エコファーマーの存在を広く知ってもらうために、エコファーマーのマークを軽トラに貼り、エコファーマーみずから宣伝しているところがあります。一般の人達が、前を走る軽トラや出荷に集まる軽トラを見て「あのマークって何だろう?」とまずは関心を持ってもらうことが大事なんだ。そう考え実行しているその直売所は成果を上げています。自分達のことを自分達で宣伝し、盛り上げていく姿勢の必要性を感じました。


直売所指導者研修会 in 松本



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 7月1日、5回目の直売所指導者研修会が、松本地域にて開催されました。
 今回は、「エコファーマーは人の認定?それとも農産物の認定?」「認定料金は一人あたりなのか?一品目あたりなのか?」といった、実践するにあたっての具体的な質問が多く見られ、意欲の高さがうかがわれました。
 また、松本地域は直売所学校会場に近いということもありますが、直売所学校への参加意欲がひじょうに高かったことも特徴でした。

 安曇野では来年、大型直売所が建設されます。お客さんを持っていかれてしまうのではないかといった、小さな直売所の存続に関わる危機感が会場内に漂う場面もありました。
 しかし、自分たちの直売所が儲かればそれでいいのか、それとも、地域の農家のみなさんに儲けてもらうために直売所をやるのか。もう一度原点を見つめなおし、共存共栄の道を探ることはできないか。地域における直売所の本来の役割を考えさせられる会となりました。


直売所指導者研修会 in 木曽



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 7月2日、6回目の直売所指導者研修会が、木曽地域にて開催されました。
 これまでの会では、行政やマスコミに期待する以上に自分達でエコファーマーなどの認知を広げていく姿勢の必要性を感じることが多かったのですが、今回出席いただいたある直売所では、エコファーマー認定農家を大幅に増やしただけでなく、認定証授与式を大々的に開催する計画があり、マスコミに取材してもらうことで積極的にエコファーマーの認知を広めようと努力している姿が見られました。
 そして、地域のために、自然環境のために、子どもたちのために木曽川の水を守っていくんだという志を感じました。


直売所指導者研修会 in 上伊那



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 7月3日、7回目の直売所指導者研修会が、上伊那地域にて開催されました。
 今回は、生産者の意識の現状に関する意見が目立ちました。「高齢者ばかりなので、GAPの資料を見せてもめんどくさがって実行してくれない」「農家の意識改革が必要だ。無茶な値段をつけておいて、売れないと販売者の責任にしてくる」などです。

 一方で、「直接お客さんと接する私がもっと勉強したい」という前向きな意見もありました。多くの方が抱いている高齢化の不安ですが、高齢の生産者がこだわって作る農作物は、実はエコファーマーや認証の基準をクリアーしていることがあると見聞きします。
 ただ知らないだけで、チャンスを逃してしまうのはもったいないことです。自分たちが頑張ってきた環境にやさしい農業、そして安心安全な農産物といった付加価値を消費者の皆さんに知ってもらうためにも、エコファーマーや認証制度を最大限に活用して下さい。


直売所指導者研修会 in 諏訪



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 7月6日、8回目の直売所指導者研修会が、諏訪地域にて開催されました。
 意見交換の時間では、たてしな自由農園の山本さんより、一年間の取り組みの成果の報告があり、参加者のみなさんにとって大変参考になった様子でした。
 内容としては「エコファーマーのコーナーを設置することにより、生産者の顔とこだわりを目に見えるようにしたことで、売り上げが3〜4倍に増えた生産者も。名前や顔写真といったアピールはよく見られるため、こだわりポイントの発信効果が大きい。生産者にとっても、自分の取り組みをアピールするチャンスになる。今後の展開としては、有機JASの取得を直売所としてバックアップしていきたい」ということでした。

 売れている野菜を見て「私だって同じことやってるのに」という思いを抱いている生産者さんは、自分のことをアピールするのに後ろ向きです。これからはそういう人こそ積極的にエコファーマーを取得し、こだわりをどんどん発信していってほしいと思います。


直売所指導者研修会 in 上小



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 7月8日、9回目の直売所指導者研修会が、上小地域にて開催されました。
 安全な農作業や、農薬使用、出荷におけるGAP取組みの具体例を各生産者さんが発表するという、とてもわかりやすく実際に為になる内容でした。「キレイに使っていただきありがとうございます」というトイレの張り紙精神を直売所も学ぶべき、といったユニークな指摘が会場を沸かせる場面もありました。

 会場において感じられたのは、地域全体での団結力の強さと意識の高さです。あさつゆさんなど先進直売所の取り組みが、地域全体に広がりを見せている上小。いいところは、みんなで共有する。地域の生産者や直売所みんなで改善していこうという姿勢が素晴らしいです。


直売所指導者研修会 in 北安曇



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 7月17日、10回目の直売所指導者研修会が、北安曇地域にて開催されました。
 今回をもって県内全10ヵ所に及ぶ研修会が終了するわけですが、40名以上もの参加者が集まり、締めくくりにふさわしい会となりました。
 意見交換の場で目立ったのは「地産地消だけでやっていけるのか」といった将来の不安や危機感。そして「直売所といっていいのは昔の話。今は農産物販売所でしかない。冬場の品揃えを補うために遠方から取り寄せている。きれい事ではやっていけない」といった現状への悩みが見受けられました。

 地方の人口減少や過疎化が進むこの先、地産地消だけではなく、都心部や観光客への売り込みなど、需要拡大の工夫が不可欠になることは十分想像できます。そうなった時のためにも、エコファーマー取得やGAPの実践といった環境に配慮した農業への取り組みは大きな武器となりえるでしょう。

 また、スーパーへ行けば日本全国のみならず世界各国から取り寄せた品物がズラリと並んでいます。同じように各地から品物を取り寄せ、品揃えを充実させることが、果たして直売所の目指すべき道なのでしょうか。信州には「信州にしかないもの」を、直売所には「地元にしかない」ものを目指してこそ、本当の価値が生まれるのではないでしょうか。
アグニコ

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GAPとは

GAPとは「Good Agricultural Practice」の略で〝良い農業の実施〟の意味。「人間の健康」「自然の環境」を守り、「持続的農業」生産を行い、消費者に信頼される健全な農業を実践することです。科学的知見に基づきながら、食品安全だけでなく、環境保全や労働安全など幅広い分野を対象とし、法令やリスクを認識しつつ、持続的な農業生産を目指します。

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