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直売所学校【8】 特別栽培・有機栽培のポイントと商品価値

第8講義(12月20日・21日開催)のテーマは「特別栽培・有機栽培のポイントと商品価値」。講師には、長野県農政部環境農業係の上久保和芳さんと、伊那市の有機栽培米農家、小川農園の小川文昭さんを迎えた。


認証制度や交付金を上手に活用しよう



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長野県農政部の上久保さんは、エコファーマーや特別栽培など、県が普及している認証制度について説明しながら、そのメリットと取得方法を教えてくれた。過去に行った消費者調査の結果から、「消費者は安全を求めている」と説明したうえで、「認証制度など、安心を証にして消費者に伝えましょう」と訴えた。
 また、環境保全型農業直接支払い制度についても言及。これは、化学肥料・化学合成農薬を原則5割以上低減して行っている営農活動に対し払われる交付金だ。「こうした制度もうまく活用していってほしい」と受講生らに呼びかけた。


地に足ついた暮らしがしたい という思いから



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 小川さんは、伊那市の青島地区で29年前から有機農業を続ける米農家だ。「地に足ついた暮らしがしたい」という思いから就農し、奥さんと2人で、化学農薬や化学肥料は一切使わずに米栽培を続けてきた。
 「いろんな草や、たくさんの虫、田んぼの中は色々なものに出会える場所」と話す小川さん。「化学肥料は使わないため、収量は慣行栽培の隣の畑の方が多いけれど、田を飛ぶとんぼの数は僕の畑に断然多い。それを見ると自分の仕事に誇りが持てます」と、穏やかに微笑む。
 有機栽培のため、雑草に悩まされもしたというが、代掻きの回数を増やしたり、初期に稲の生育をよくする工夫をするなどして乗り越えてきたという。
 また、こんな話も。比較的大きめの田んぼには除草用の機械に頼るが、人力の手押し除草機も手放せないという小川さん。なぜか。それは、作業の楽な機械に乗っているだけでは、除草がただの片付け仕事に成り下がってしまうからだという。人力の除草機押しは、重労働ではあるが、田んぼを一番肌で感じることのできるその時間は小川さんにとって「かけがえのないもの」と実感を込めて話した。
 そんな小川さんの、自然や農業に対する姿勢に、受講生からは「感銘を受けた」という感想が多く挙がった。



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