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長谷学校給食シンポジウム開催報告

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 平成31年2月16日(土)に長野県伊那市長谷にある長谷中学校のランチルームで給食シンポジウムを開催しました。スタッフを務めてくれた地域の方も含め、総勢120名ほどが参加し、交流会には郷土食が並ぶにぎやかで温かな会となりました。

長谷地区の学校給食



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 長谷中学校は全国でも先駆的にランチルームを設置し、第一回全国学校給食甲子園では優勝を手にした学校です。昨年行われた第13回全国学校給食甲子園では1701校から12校に選ばれ、決勝大会では地場産物をうまく活用したことを評価された船昌賞と、食育授業の最優秀賞であるキッコーマン食育特別賞を受賞しました。

動画はこちらから  https://youtu.be/XdjYUGB1KHk

 しかし、初代優勝時に比べ現在は長谷地区の高齢化や地域農業の衰退が激しく、数年前には給食へ野菜を納入する地域の生産者団体が解散してしまいました。それを受け、長谷中学校の生徒たちは「中学生にできる地域おこし」をスローガンに学校の畑や田で給食用野菜を栽培したり、獣害被害に強いトウガラシを地域の方の協力を得ながら長谷地区内で栽培し、ラー油へと加工し販売も行ってきました。

学校給食から地域農業を考える



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 中学生が動き始めたこの取り組みを継続していくこと、また給食の地場産率を上げるには、以前のように給食へ野菜を納入してくれる地域の方の存在が不可欠で思いやを知ってもらう必要があるとの考えから、地産地消コーディネーターである弊社代表毛賀澤とともにこのシンポジウムを企画し、開催へとつながりました。
 シンポジウムでは、長谷中学校の高木校長の熱い思いのこもった話、キッコーマン食育特別賞を受賞した原真理子栄養教諭の食育授業、地産地消コーディネーターも務める山形小学校栄養教諭の杉木先生による地産地消の実践に関わる講演、地域農家を交えたパネルディスカッションが行われ、その後、地域の方が作った郷土料理を食べながらの交流会が行われました。

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 長谷地区の関係各所、また地域の方にお話を伺うたびに「長谷は高齢化が進んでいるし、猿と鹿の被害がひどくて野菜を作っている人はいない」と口をそろえて言われていました。給食の検討会を開き、シンポジウムの準備をする中で、どうやって野菜を作っている人を探すかは常に課題となっていました。
 そのなかで、地域のベテラン農家さんから「交流会の料理に使うと言って、野菜を作っている人は一人1個野菜を持ってシンポジウムにきてくれって頼んでみたらどうか」と提案がありました。冬場ではありますが、野菜を作っている人は白菜や玉ねぎなど日持ちするものを保存しているはずで、また持ってきてもらったものでその人の作目も少しわかるとのことでした。「もらった野菜で汁を作ろう。もし、何も集まらなかったらそれが長谷の現状だと具なしの汁を飲もう」と笑いあい、当日を迎えました。

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 当日、蓋を開けてみると汁だけには収まらない野菜が集まり、鹿肉を提供してくださった方もいて、豪華な長谷汁を作ることができました。使わなかった野菜は今後の給食に使用されますが、残った野菜は40キログラムにもなりました。
 今回のシンポジウムに地域の方が多く参加してくださったこと、また長谷地区に野菜を作っている人がいるとわかったことが、今後への大きな希望となりました。これからは、実際に学校給食に納入していくシステムなどを整えながら、学校給食からの地域農業振興に努めていきたいと思います。
アグニコ

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