直売所がこの先生きる道を共に探る

信州の直売所から始めよう! 森と水と笑顔を守る農業

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 信州の直売所から、森と水と人々の笑顔を守る環境保全型農業の新しいうねりが始まっています。自然環境と人々の健康な暮らしを守ることで信州直売所農業のブランド化を図る「環境にやさしい農業」実践直売所育成事業がそれです。

 長野県内の直売所やその出荷農家と、長野県・産直新聞社との共同でスタートしたこの事業は、何をめざし、どのような歩みを始めたのでしょうか?より多くの方に、それを知っていただくために、産直新聞社では本号外を製作・発行しました。


直売所の人気は高まっているが…



 信州で、そして全国で、農産物直売所の人気が高まっています。多くの消費者が「直売所」や「産直」、「道の駅」でその土地の旬の農産物を購入し、味わうことを楽しみにしています。
 それはそれで大歓迎なのですが、そうした明るい話の他方で、「直売ブーム」で大規模店を中心に多くの新店舗が建てられ、従来地域の農業を守ってきた「地産地消」の拠点としての直売所が、売上げの頭打ちや、生産者の高齢化などで停滞状況に陥っていることが多く見受けられるようになってきました。肝心の地元の農産物も、十分には店頭に並ばないというような状況も生まれています。
 直売所は、全体としてさらなるパワーアップを図るべき、新たな局面を迎えているのです。


生産技術の向上を柱にして



 パワーアップは色々な側面で求められていますが、何と言っても、直売所の根本である栽培技術の向上を中心に進めるべきでしょう。今まで以上に丁寧で心のこもった農業生産を進め、農産物の質においても、安全性においても、直売所を訪ねてくれる消費者の期待に応えられる〝食のスポット〟にならなければなりません。

 もちろん、各地の直売所の出荷する農家はこれまでも技術向上・品質改善の努力を重ねてきました。しかし、そうした努力を記録に残し、消費者の皆さんにアピールしたり、それを基礎に、直売所として農産物のブランド化を進めたり(もちろん必要な技術の磨き上げを進めながら)することは得意ではなかったように思います。
 この点に、農家や直売所、それに県や産直新聞などの力を集中して行こうというのが今回の取組みです。


直売所GAPからエコファーマーなどへ



 この取組みは二階建ての構造を持っています。一つは、直売所が中心になり施設の運営管理や出荷農家の生産管理を、自分たちの自身の力でできるようにしていく、そしてそれを対外的にアピールできるようにしていく直売所GAPの取組みです。

 そして、それを土台にして二つ目に、「エコファーマー」や「環境にやさしい農産物」認証などの国の基準を利用し、さらに土づくりや水源の水を守るなどの信州ならではの独自性を加えた、それぞれの直売所のブランド化の取組みを二階部分として構築していこうというものです。
 既に、長野県内の年間営業の直売所約220店舗に一斉ヒアリングを行い、それをふまえた県内10ヵ所での指導者研修会が始まっています。

 また、県内の著名な4か所をモデル直売所に設定し、栽培から販売までを通じた「安全・安心・良質」のブランド化の挑戦もスタートしました。
 この号外では、その様子を出来る限り皆さんにお伝えすることを目指しています。
 長野県の直売所や農家の皆さん、ぜひこの取組みを大きく発展させましょう。そして、全国の仲間の皆さん、消費者の皆さん、この取組みに注目し、大きな声援をお寄せ下さい。


耕運記



 全国でも先駆的な直売所GAP普及の取組みを進める中で、中山間地の昔ながらの小さな直売所やそこに集まる農家が全体として高齢化し、生産や運営のルールを定式化し、それにそって自己点検する(これがGAPだ)といっても、そもそも直売所や農業の継続自体が危機に瀕している状況を目の当たりにしている ▼ところが、よくよく聞いてみると、そういう中山間地の高齢化が進む農業集落の昔ながらの「地産地消」の取組みが、実は、「GAP」とか「エコファーマー」とかいう言葉は知らなくても、きちんと「生産者の心得」を皆で決めて点検し合い、農薬や化学肥料の使用は極力控えた「環境にやさしい農業」を、ずっと以前から進めている、素晴らしいものであることが多いことが浮き彫りになってきた ▼山奥のじいちゃん・ばあちゃんの農業が、実は環境保全型農業の最先端だ!なんて事になったらなんとステキなことだろう。胸をワクワクさせている。

(平成26.6.16 産直新聞 GAP号外より)
アグニコ

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GAPとは

GAPとは「Good Agricultural Practice」の略で〝良い農業の実施〟の意味。「人間の健康」「自然の環境」を守り、「持続的農業」生産を行い、消費者に信頼される健全な農業を実践することです。科学的知見に基づきながら、食品安全だけでなく、環境保全や労働安全など幅広い分野を対象とし、法令やリスクを認識しつつ、持続的な農業生産を目指します。

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