直売所がこの先生きる道を共に探る

信州直売所学校2015 第4回

 「信州直売所学校」の第4講座「GAPとは何か?導入の意義と方法」を9月2日、長野県総合教育センター(塩尻市)で開きました。GAPの普及と、ほ場巡回のポイントについてを県農政部農業技術課が解説し、GAPを取り入れた事例紹介として、県内外の3直売所を迎え、生産農家への周知や導入までの経過などが報告されました。

 GAP(農業生産工程管理)とは〝良い農業の実施〟の意味。「人間の健康」「自然の環境」を守り、「持続的農業」生産を行い、消費者に信頼される健全な農業を実践すること―と、定義されています。科学的知見に基づきながら、食品安全だけでなく、環境保全や労働安全など幅広い分野を対象とし、法令やリスクを認識しつつ、持続的な農業生産を目指すものです。

 県農政部農業技術課の山城正利係長は「GAPの普及と実践のポイント」と題して講義。実践のポイントとしては、現状の問題把握に始まり、部会やグループなどで話し合いを持ちながら、「GAPに取り組もうという合意形成を持つことが大切だ」と訴えました。さらに「軌道に乗るまでの間は、指導的役割の人が力づくで引っ張る強引さも時には必要」とし、リーダーの存在が推進力となり、導入まで比較的スムーズに運ぶケースもあると述べました。

 続いて、すでにGAPを実践している上田市丸子農産物直売所加工センター「あさつゆ」(上田市)代表の伊藤良夫さん、アルプス市場(松本市)の須賀譲二さん、産直あぐり(山形県)の澤川宏一さんが導入事例を発表しました。

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 伊藤さんは「農家が取り組むGAP」の啓発、支援の活動を紹介した上で、今年度から取り入れた残留農薬検査の実施を解説。生産履歴の管理だけでは不十分な理由や、想定外の検査結果が出た際の対応など、一歩進んだ取り組みを紹介しました。

 アルプス市場の須賀さんは「完全民営の会社で自由さが良い部分だが、生産者管理が甘いところがあり、今後、直売所を運営していく上で必ず必要になってくる」と導入のいきさつを語り、「高齢の生産者が多い中で、GAPの必要性や生産履歴を記入する重要性を認識させること、従業員の知識の習得などが挙げられる」と今後の課題を明確にしていました。

 澤川さんは平成14年に東北地方を中心に明るみになった無登録農薬問題から真剣に考えるようになったと振り返り、平成18年に導入した経過を語りました。全会員がわかりやすいようにチェックシートは60項目にまとめる工夫。「今は提出するのが当然と思うようになっている」と話します。この産直あぐりの独自GAPは、山形県GAPのモデルになっているそうです。

 次回は10月14日。テーマは「環境保全型農業 その制度と取組む意義」です。


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信州直売所学校カリキュラム (pdfファイル、4653103バイト)
信州直売所学校申込書 (pdfファイル、677835バイト)
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GAPとは

GAPとは「Good Agricultural Practice」の略で〝良い農業の実施〟の意味。「人間の健康」「自然の環境」を守り、「持続的農業」生産を行い、消費者に信頼される健全な農業を実践することです。科学的知見に基づきながら、食品安全だけでなく、環境保全や労働安全など幅広い分野を対象とし、法令やリスクを認識しつつ、持続的な農業生産を目指します。

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