直売所がこの先生きる道を共に探る

つくば市にて産物直売所GAPセミナー開催、全国から130人

 茨城県つくば市の文部科学省研究交流センター国際会議場で2014年3月19~20日の2日間にわたり、農産物直売所GAPセミナーが開催された。農産物直売所のGAP教育とリスク管理に焦点をあて、健全で持続的な農業の実践と農産物の直売について学ぶ本セミナーには、農産物直売所関係者、農業普及関係者、大学、研究機関、農業生産者、等各方面から約130人が参加した。

 直売所甲子園2013(主催・全国直売所研究会)で優勝し、農林水産大臣賞を受賞した「みずほの村市場(茨城県つくば市)」の生産者と事務局のGAP実践活動を取り上げ、直売所GAPの課題とその成功事例から学んだ。


GAPとは



 GAPとは、自然、資源を保護し、経済、農業が持続できるようにしながら環境汚染や農作業事故を引き起こす行為を最小限に抑える行為であるという、GAPの基本的な解説から始まり、農薬によって引き起こされる環境汚染の実態、世界各国のGAP取り組み等、幅広い事例が紹介された。

 また、GAP規範に基づくGH評価制度についても言及された。GH評価制度とは評価員が農場を訪れ、チェックリストの項目にしたがってその農場を点数で評価するという制度だ。実際にみずほで導入した本制度の取り組み実態、効果についても紹介され、、生産者に確実なフィードバックができるこの制度の手ごたえが述べられた。

 生産者側からは、GAPへの取り組みの中で、データを残す習慣がつき、振り返りができるようになった、また土壌分析の結果、農産物の品質が向上した、等の実感が語られた。価格競争ではなく品質を競うためにもGAPの取り組みの重要性を感じているという。
 講演終了後行なわれた受講者と講演者との総合討論では、講演内容に関する質問に講師陣が丁寧に意見を返した。

 質問は主にGAP推進方法を問うもので、生産者である岩崎氏は「顔が浮かぶお客さんを見つけ、そのお客さんに対して農場を見せても恥ずかしくないようにという意識を持つことが推進につながる」と、自らの体験を振り返った。また白川氏からは「普及員はとにかく現場に行って話をしなければ始まらない」と、実感のこもった言葉があった。

 この取り組みを通して、生産者の意識を向上させることが可能であり、GAPを推進することが、今後品質の高い農産物を生産していくための転換期を作り得る。また推進を呼びかける者は、ただルールに従うことを訴えるのではなく、良い農業とは何かを改めて考える機会となるように働きかけることが重要だ。


GAPセミナープログラム



1日目

 

    ● 記念講演「これからの農業経営者」
      (長谷川久夫 みずほの村市場社長)
    ● 基調講演「GAPで甦る農産物直売所」
      (田上隆一 日本生産者GAP協会理事長)
    ● 講  義「GAPは農業経営の本」
      (田上隆多 日本生産者GAP協会理事)
    ● 講  演「なぜ直売所がGAPを推進するのか」
      (高橋広樹 みずほの村市場生産部長)


2日目

 

    ● 講  演「GAP農場評価による農場クリニック」
      (山田正美 日本生産者GAP協会常務理事)
    ● 講  演「みずほモデルと農産物の品質を支えるGAP」
      (石谷孝佑氏 日本生産者GAP協会常務理事)
    ● 事  例「組織で行なう品質管理とリスク管理」
      (高橋広樹)
    ● 事  例「新しいみずほのGAP推進」
      (白川洋輔 みずほの村市場GAP担当)
    ● 事  例「直売所出荷者に聞くGAP実践1」
      (岩崎勤 みずほの村市場出荷者)
    ● 事  例「直売所出荷者に聞くGAP実践2」 
      (宮本貴夫 みずほの村市場出荷者)
    ● 総合討論

(平成26.4.11 産直コペルvol.5より)
アグニコ

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GAPとは

GAPとは「Good Agricultural Practice」の略で〝良い農業の実施〟の意味。「人間の健康」「自然の環境」を守り、「持続的農業」生産を行い、消費者に信頼される健全な農業を実践することです。科学的知見に基づきながら、食品安全だけでなく、環境保全や労働安全など幅広い分野を対象とし、法令やリスクを認識しつつ、持続的な農業生産を目指します。

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