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あさつゆ、ヤオコーと試験的に提携販売

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 上田市丸子農産物直売加工センターあさつゆ(上田市)が、関東圏で142店舗のスーパーを展開する株式会社ヤオコーと、9月7日〜10月17日(販売は18日まで)の期間限定で試験的に提携。あさつゆで集めた農産物を輸送し、ヤオコーに設けられた「産直コーナー」の一角で販売した。
 今回提携したのはヤオコー所沢北原店(埼玉県)の1店舗。関東圏のスーパーとの提携を組織的に行うのは初の試みで、あさつゆ組合長の伊藤良夫さんは、「よい実績となれば、継続して行う予定」という。
 荷姿も工夫し、あさつゆのロゴマークをあしらったラベルや、関東ではあまり食べられない丸ナスや辛ナンバンにはレシピを書いたラベルを貼付するなど、関東圏スーパーの顧客に合わせた売り方を探った。また、価格はあさつゆで販売する時とほぼ同程度の値段を生産者へ支払えるよう設定。輸送は、食品流通業者、長野県連合青果(株)(本社・上田市)が担い、同社がもともと受け持っていたヤオコーへの通常定期便に乗せることで輸送費を低く抑え、安定した輸送経路も確保した。
 期間中の販売を終え、全体のロス率は0・65%に留まっており、「想像以上に良い成果が上がった」という。今後、輸送費や手数料等を鑑み、採算がとれているかを検討し、今後の継続について年度内に判断する。

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 今回の試験的な提携は、ヤオコー側から「産直コーナーで信州産を扱いたい」という話を受けた連合青果が、付き合いのあったあさつゆへ話をつなげたことがきっかけ。 
 連合青果企画開発室部長唐木裕史さん(46)は、「青果を扱う店が増え、量販店も独自色を出していこうとしており、一般的な市場流通品にない面白さを求めるなど市場へのニーズも多様化している。しかし、そのニーズに応じた商品づくりや運営は私達だけではなかなか難しい。今回の取組みは、私達にとっては顧客ニーズに応えられる上、産地サイドの販路拡大という課題にも貢献できる、三方よしの連携だと感じている」と話した。
 また、あさつゆの伊藤さんは、「店舗をもつ直売所だからこそ出荷品目や数量の調整ができるし、品質面も保証できる。こうした提携は直売所でもやればできる事業形態だと思う」と話す。ただし、出荷の際求められる品質は厳格化する上、ある程度の量に対応できる生産者は限られる。現在は十数名の生産者の農産物を出荷しているが、今後、対応できる生産者の人数と、売上、輸送費等を考慮しつつ、どの程度の規模が適正か探っていくことが課題だという。しかし、この経験により店全体で高いレベルに臨む意識が醸成されており、継続した場合は出荷する生産者の幅を広げていくことも検討する。
 「ヤオコーにとっては異質な取組みだと思うが、継続した場合、市場には出回らない規格外品なども送るなどして直売所の面白さを演出できたら」と伊藤さんは期待を寄せていた。

(平成27.12.12 産直新聞第92号より)
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