地元、信州の農・食・暮らしを発信 ―さんちょく新聞より―

土よ、甦れ!

温故知新「土づくり」からの農業



 元来日本人は土地に対する思い入れの強い民族であり、先祖代々から伝わる土地を耕し、堆肥等の投入を行いよりよい土づくりをしてきました。 しかし現在の農業はどうでしょうか? これからの日本の向かうべき農業の形について考えたいと思います。
 (文・株式会社エーピー・コーポレーション 斎藤太一)


形・大きさの規格統一、現代の農業がもたらしたもの



 戦後、日本は食糧難を乗り越えようと農作物の流通をしやすくするために形・大きさの規格統一を図り、化学肥料の投入で大きさの偏りの無いようにし、農薬の投入で病害虫から農作物を守る、という生産手段を進化させてきました。当時はこの手段が食糧難から日本を救うために非常に重要であったことは想像に難くないところではありますが、こうして化学肥料・農薬の多投を余儀なくされた結果、先祖代々に渡り作ってきた土は痩せていき連作障害等の土壌障害を呼び起こすようになりました。


なぜ連作障害等の土壌障害が起こっているのか?



 実際に土壌の中では何が起こっているのでしょうか?(独)農研機構・中央農研:横山博士の開発した「微生物多様性・活性値※」という分析方法を用いて説明したいと思います。
 「土壌微生物多様性・活性値」は土壌の微生物が活発に動いていて、多種多様にいると数値が高く、逆に微生物の種類が少なく、動きも停滞しているような土では数値が低くなります。
 一般的な農場の数値は60万程度ですが、有機栽培の水田では200万を超えるような数値を出す生産者もいますし、逆に連作障害の起こっている土壌を分析すると、20万・30万台という数値になります。

 20万・30万台の土壌では「農作物に寄生する微生物(病原菌)」の生息がほとんどで、この病原菌に拮抗するような微生物がほとんど活動・生息できない状態です。こうなると作物は発芽もできません。これを解決するためには、クロルピクリン等の非常に強い土壌消毒をしなければなりません。しかし、土壌消毒は病原菌もそれに拮抗する微生物も皆殺しにしてしまうので、土壌消毒の後も病原菌があっという間にはびこり、更に深刻な状況に陥ることもしばしば見受けられます。

大規模野菜産地における連鎖障害の発生。土壌消毒なしには工作不能。
大規模野菜産地における連鎖障害の発生。土壌消毒なしには工作不能。

 この危機的なサイクルを専門的に「リサージェンス」と呼んでいます。この負のサイクルにはまると土壌消毒を必ずしなければならなくなり、先祖代々培ってきた土は回復不能なまでに痩せていってしまうことになるのです。(写真1)


土壌微生物多様性・活性値を高めるには?



 「土壌微生物多様性活性値」を倍増させる資材が『Dr.バシラス』という微生物資材です。
 これからの日本の農業は量の追及をやめ、品質の向上に重点をおくべきなのではないでしょうか?

右が『Dr.バラシス』を入れた土で作った春菊。根の張り方が大きく違う
右が『Dr.バラシス』を入れた土で作った春菊。根の張り方が大きく違う

 『Dr.バシラス』であれば、ひとりひとりに合った本当に土にとって良いこと・そこに住む生命に良いことをしてこの数値を高めていくことができます。多くの生産者が幅広い資材を使って、より良い農業の実践が可能になります。「生産者の土に対するこだわり」がそのまま農作物の価値を高めていく。農家の方の土づくりへの思いが、そんな新しい農業の形を可能にしていくのです。


『Dr.バシラス』とは?



 農作物の収量の増加・品質の向上等非常に多くの現場で実績を積んでいる農業用微生物土壌活性剤です。
 『Dr.バシラス』は納豆菌と同じジャンルの菌(バシラス属菌)の複合菌体です。重要なポイントは2つ。
 (1)バシラス菌と(2)複合菌体であるということです。それぞれについて説明します。


(1)バシラス菌について



 納豆菌と同じジャンルの菌ですが、農業界ではよく枯れ草等によく生息している菌であることから枯草菌(コソウキン)と呼ばれます。
 この状態に枯草菌である『Dr.バシラス』を投入すると、もともとある微生物相に『Dr.バシラス』という底辺が加わり、本来ある微生物相よりも大きく、豊かな微生物相が生まれるのです。


(2)複合菌体について



 『Dr.バシラス』は単一菌の資材ではありません。通常多くの微生物資材は、研究者の方が自分で発見したオリジナルの菌を製品化した単一菌の資材です。単一菌の資材はある特定の相性の良い土壌では効果が出ても、違う特性の土壌ではその微生物が思うように活動できず、狙った効果が発揮されないことがあります。しかし、菌を複合することにより、それぞれの菌が効果を補完しつつ、幅広い特性の土壌で効果を高めるという利点があります。

 更に『Dr.バシラス』の培養方法は今までの複合菌の資材と一線を画したものです。今まで、複合菌資材は一つの培養タンクにそれぞれの菌をまとめて入れ、培養するものがほとんどで、結果、今日作るものと、明日作るもの、一年後に作るものが同じ成分になっている可能性は極めて低くなってしまいます。それに対して、『Dr.バシラス』は一つ一つの菌を滅菌した培養タンクで純粋に単独培養し、菌数測定ののちブレンド比が同じになるように最終的にブレンドします。これにより、同じ環境の現場であれば、効果の再現性が生まれます。

 更に『Dr.バシラス』のもう一つの最大の特徴は、ブレンドされた菌のうち発根を促す物質を出す菌がいると言うことです。(写真2)バシラス菌の出す成分により旺盛に発達した根は、豊富になった肥料成分をより吸収するようになります。それが、味の濃いおいしい農作物づくりを可能にするのです。


『Dr.バシラス』利用者の声



戸田 宏さん(62)
道の駅しなの「ふるさと天望館」(信濃町)出荷組合長



 使用を始めて3年位になります。実は、当初「本当に効果があるのか」と半信半疑でした。しかし、まずケールに使ってみたところ、ポールを使わないと風で倒れてしまっていた作物がポールを使わなくても倒れないほど根がしっかりと張っていました。側根もこれまでより多く出ており、養分をより吸収できたためか、以前より収量が多くなっていました。またトウモロコシでは『Dr.バシラス』を使った方の糖度が1~2度高くなっていました。これには驚きましたね。
 『Dr.バシラス』は、土本来の力を引き出すものなのだと思います。健全な作物を作るにはまず土づくりから。そのためにも『Dr.バシラス』は必要不可欠な存在です。


寺嶋 千鶴子さん(72)
道の駅しなの「ふるさと天望館」(信濃町)出荷組合員



 2年程前から使っていますが、お米は特に『Dr.バシラス』を使うようになってから、より甘みのある美味しいお米が採れるようになったと感じます。最近では箱根の料理宿「弓庵」さんにも納めるようになりました。舌の確かな宿の方に認められ、とても嬉しく思っています。ほかにも、ミニトマトに使ったら、もぐのが嫌になる位収量が増え驚きました。
 これまでも農薬や化学肥料を出来る限り使わないよう心がけてきましたが、『Dr.バシラス』を使い始めてから、土が生きている、元気になっていると感じています。 

(平成26.4.28 産直新聞第87号)
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