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環境にやさしい農業実践直売所育成事業第5弾

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「エコファーマーを知っていますか?」
ー消費者アンケートで見えてきたことー



 長野県農政部からの委託事業として4月から取り組んできた「環境にやさしい農業実践直売所事業」。本号では、本事業のモデル直売所にもなっている、たてしな自由農園と、道の駅しなのふるさと展望館の2店舗にお邪魔して、消費者にアンケート調査を行ないました。

 この2店舗では、7月から、エコファーマーや環境にやさしい農産物認証を取得した農産物を集めた専用のコーナーを設けて販売しています。たてしな自由農園では『みどりと水を守る農産物』、ふるさと展望館では『水と緑と郷土を守る農産物』と、それぞれ銘打って、環境に配慮した方法で作られた農産物をそのコーナーに集めています。消費者へのアンケートでは、エコファーマーの認知度や、そういった商品の魅力の有無等について質問しました。


露呈したエコファーマーの認知度の低さ



 そもそもエコファーマーとは、環境保全型の農業生産を導入する計画を立て、長野県知事の認定を受けた農業者のことを指しています。
(1)「土作り」、(2)「化学肥料の低減」、(3)「化学合成農薬の低減」
の3項目に対して環境に配慮した技術を取り入れて栽培を行っていることが条件となります。

 「エコファーマーマークを知っていますか?マークの意味を知っていますか?」という質問に対し、「知っている」と答えたのは、たてしな自由農園では108人中15人、ふるさと展望館では104人中14人、2店舗合計でマークの意味を知っていたのは、全体の14%にとどまりました。
 また、客層について聞いたところ、県外客の割合は、たてしな自由農園で108人中92人、ふるさと展望館で104人中58人という結果でした。


「エコ」や「環境にやさしい」は、消費者にとって魅力があるのか



 エコファーマーについては、消費者の大多数が知らなかった一方で、「エコや環境にやさしいというPRに魅力を感じますか?」という質問に対しては、「多少高くても魅力的」と答えた方がその大半を占めました。たてしな自由農園では108人中83人(77%)、ふるさと展望館では104人中74人(71%)の方が、エコや環境にやさしいという言葉に魅力を感じると答えました。そういった方からは次のような声が挙がりました。

「エコや環境については普段から気にして買い物をしているので、そういう商品は率先して買いたい」
「子供がいるため農薬などは気になる、マークがついているとわかりやすい」
「マークは知らなかったが、それらの商品を集めたコーナーがあるのならば、手にとって見てみたい」
「農薬等については普段から気にしているので、こういったコーナーがあると安心できてうれしい」

 一方で「魅力を感じない」と言った方からは
「直売所に並んでいる時点で安全だと思っているから気にならない」
「子供に食べさせるならば気にするけど、自分が食べる分には気にしない」
といった意見もありました。


今後への可能性



 消費者が「エコ」や「環境にやさしい」というキーワードに魅力を感じているのに、「エコファーマー」マークの意味や制度そのものが消費者に伝わっていない状況はとてももったいないことです。制度が生かしきれていないと言わざるを得ないでしょう。そのためエコファーマー認定を受けた生産者の方からは、「せっかくエコファーマーのシールを貼って売っても売れ行きは少しも変わらないから、シールを貼るのはやめた、更新しなかった」という声も挙がっていました。

 しかし、今回専用コーナーを設け、ポップやポスターを使って取組みを消費者にアピールしたところ、それ以前よりも売上げが増加するという結果が出ました。しっかりとしたPRさえきちんとすれば、取組みを支持する人が商品を購入してくれるということが浮き彫りになったのです。

 もちろん、今回ヒアリングを行なった2店舗での結果が全てではありませんし、地域や客層の違いで、また異なった結果が出るかもしれません。しかし、今回のヒアリングによって、今後の普及活動やPR次第で、この制度が支持され、広がっていく可能性は十分あるということを実感する結果となりました。

(平成27.2.19)